1870 装備近代化で出る中古兵器の行方 古沢襄

北京で行われた中ロ首脳会談で”戦略的協力”関係の強化が確認されたと時事通信は伝えている。はっきりいえば中ロの軍事協力が強まるということである。中国人民解放軍の近代化が好調な経済発展を背景にしてこのところ著しいが、むしろロシア国防軍の近代化が目立っている。
<【北京23日時事】就任後初めて中国を公式訪問しているロシアのメドベージェフ大統領は23日、北京の人民大会堂で胡錦濤国家主席と会談し、戦略的協力関係の強化を確認した。両首脳は会談後、あらゆるテロリズムを共同で取り締まり、国連の主導的役割を支持することなどを盛り込んだ共同声明に調印した。
ロイター通信は、共同声明は米国が推進するミサイル防衛計画について、「国・地域の安定を害する」と非難したと伝えた。
華僑向け通信社、中国新聞社によると、会談で胡主席は「(大統領訪中が)両国関係に新たな弾みを付けるものと信じる」と述べ、プーチン前政権時代に培ったパートナーシップを継承し、中ロ関係のさらなる緊密化に自信を示した。
メドベージェフ大統領も、「最初の外遊先で中国を訪れたことは、両国関係を極めて重視していることを具体化するものだ」と対中重視を鮮明にし、ミサイル防衛問題などで関係がぎくしゃくする欧米をけん制する思惑をうかがわせた。(時事)>
このニュースは予想されていた。米国のミサイル防衛(MD)施設配備に対するロシアの反発と危機感は想像以上のものがある。ヨーロッパとロシアのことだと楽観視しているわけにはいかない。「赤の広場」で行われたロシア国防軍の軍事パレードは十七年ぶりの大規模なものになった。
二〇〇五年夏にロシア国防軍と中国人民解放軍の合同演習がウラジオストクと山東半島の二カ所が行われて以来、両国の軍事協力は進んでいる。ことしに入って二月、三月とロシア極東軍の長距離爆撃機が太平洋沿いに南下し、航空自衛隊のF15がスクランブルをかけた領空侵犯も発生している。
プーチン政権になってからロシア国防軍の強化策が次々と実施されている。石油価格の高騰と資源外交によってロシア経済が立ち直りをみせてから、一〇〇万のロシア国防軍の装備近代化に力をいれてきた。二〇一五年までに装備の45%を更新するという。
気になるのは、更新された装備によって、これまで使用されてきた兵器の行方である。中古兵器だと軽くみるわけにはいかない。ロシア国防軍と中国人民解放軍が使った兵器が中東やアフリカに輸出されないという保証はない。
核の話だと大騒ぎになるが、中古兵器の行方にも注意を払う必要がある。
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