1908 挑発的・冒険的な中国の軍拡(下) 翻訳:平井修一

米上院外交委員会でのカート・キャンベル博士の講演の抄訳の最終回。
中国が「信頼できる利害共有者」の働きをするように政策担当者が戦略を考案することはますます重要で、将来を予見し、アジア太平洋でアメリカのパワーと影響力の維持を確実にすることです。米国の利益のため、全体的なアジア政策において重要な同盟国との関係を活かす必要があります。戦略には以下の要素を含むべきです。
(1)アメリカの戦略的プレゼンスを再び主張する
新しい政府から明快に、アメリカにとってアジアの永久的な重要性を強調する強い声明が発せられなければなりません。次期大統領はアジア太平洋での世界的な挑戦と協力の見通しに焦点を当て、アメリカにとってヨーロッパと同様に重要なアジアの展望を伝えなければなりません。台湾に対するアメリカのポジションへの明白な言及は、同時に中国本土との相互関係を拡大したいというアメリカの願望の発言で補完されなければなりません。これは、特に「中華帝国」とインドが世界的大国として再び台頭し、数年内には戦略的な競争時代を迎えそうなアジア太平洋では重要です。
(2)強い相互関係を維持する
地域での戦略は、それを支える相互関係が強ければ強いほど有効です。二国間の同盟関係が地域での無数の難問を扱うことができるかという問題はありますが、従来の安全保障問題を管理する上では無駄ではありません。アメリカはオーストラリア、インド、日本、韓国、インドネシア、台湾と強い相互関係を維持しなければなりません。特に日本は依然としてアジア太平洋におけるアメリカのプレゼンスの基盤で、我々の協力関係はブッシュ政権以上に深まらなければなりません。
(3)対外アピール:ゲームに参加し、活発に地域の多国間フォーラムに従事する
次の国家安全保障会議と国務長官、国防長官は、アジアでハイレベルの会議に出席することの重要性を認めるべきで、さらにアメリカの戦略的な利益を進める会議とサミットを活発に開催もすべきです。国務省はアジア太平洋で会議のために諸機関間の出席方針を明確にし、あらゆる会議で副長官以上の出席を保証しなければなりません。この方針を円滑に進めるために、我々は副長官会議の再編を提案します。アメリカは、大臣レベルでの三者間の会談も進めなければなりません。アメリカ、中国、日本の間の会談、またはアメリカ、日本、韓国の間の対話は、特に生産的であることが証明されています。
(4)軍事の役割を再検証する
アメリカは前方配備の軍事プレゼンスをこの地域で維持しなければなりません。友人を安心させるため、同時に中国に注意を促すためで、我々が地域の平和と安定の最終的な保証人であることを明らかにすることです。軍事プレゼンスは、地域でアメリカの同盟と他の安全保障を確かなものとするために不可欠です。より積極的に、我々は中国を含むすべてのアジア諸国で共に働くことへの我々の熱意を明白にしなければなりません。テロリズム、海賊行為、大量破壊兵器の拡散に対処するという一般の安全保障の追求において協働が必要です。中国、日本、韓国、その他の国が関係している共同の平和維持活動は、参加国の間で安全保障対話の機会を拡大することにもなります。
(5)課題を広げること
伝統的な安全保障問題だけに集中することは、アジアに対する広範囲の利益を追い続けるアメリカの能力を制限するかもしれません。アジア諸国の主要な問題は、安全保障ではなく経済です。一方、世界的な気候変動とエネルギー問題という課題は、時間とともにますます一般的になっていきます。すべてのこれらの複雑に絡み合う問題は、国際協調的な解決を必要とします。特にアメリカは省エネルギーと協力に対する相互的な米中フレームワークを求め続けなければなりません。
結論:
冷戦時代のアメリカの外交政策の多くは、ある程度の超党派的提携によって特徴づけられました。バンデンバーグ上院議員の不朽の名言ですが、苦々しい情況は「水際で」しばしば止まりました。超党派的提携は現在の議論においてほとんどありません。この内部対立はアメリカの外交政策の策定と実行で効果を弱めています。前途に横たわっている難問は大きく、アメリカの政治、少なくとも外交政策に関しては、ある程度の共通基盤を再発見する協調努力は、外交政策が真に成功するために最も重要な要件の1つであるかもしれません。
世界的な舞台における強国としての中国の台頭は必ずしも確かなものではありませんし、必要でもありません。アメリカと中国は、台湾、貿易摩擦、アジアでの地域紛争、あるいは人権問題について衝突しているのですから。アメリカと中国は、現在は驚くほどうまく一緒に広範囲の問題に取り組んでいます。しかし、中国の意図と拡大する能力が不透明のままである限り、アメリカと地域の諸国は用心深いままです。
民主党または共和党であれ次期大統領は、ますます中国が関係するアジア太平洋で、相当な難問に取り組みむことになります。基盤と協働フレームワークを確立することは、地域の安定と安全保障を確実にするために重要です。
この名門のパネルで証言する機会を得たことに感謝します。(終わり)
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