気象庁は、東北地方で発生した最大震度6強の地震を「平成20(2008)年岩手・宮城内陸地震」と命名した。(共同)
先週の日曜日は岩手県西和賀町湯川の末広旅館にいた。錦秋湖の回りの山道・仙人峠を越えて北上駅まで送って貰って帰ってきた。車を運転してくれた高橋雅一町議、末広旅館に同宿してくれた高橋繁町長と菩提寺・玉泉寺の全英大和尚の安否が心配で電話を入れたが通じない。西和賀町は震度5、親戚や知人が多く住む土地だけに心配だ。
岩手・宮城内陸地震の第一報を聞いて、一番先に気になったのは錦秋湖沿いの仙人峠で崖崩れがなかったかということであった。1982年に初めて西和賀の地に行った。26年前のことである。湯本温泉の親戚である高橋国子さんのところで、夕食をご馳走になり、深夜に仙人峠を越えて北上市に出た。
夜だから錦秋湖を見ることができない。真っ暗な砂利道の山道を車のライトを上向きにしてソロソロと走る。いつもは助手席で居眠りする女房が気味悪がって目をパッチリあいている。正直にいえば幽霊がでてきそうな気持ちに襲われていた。
錦秋湖は和賀川の水を堰き止めて作った特定多目的ダム。北上川水系では田瀬湖に次ぐ大規模な人造湖で近年、観光地としても知られてきた。夏には花火大会、秋になると周辺の山々の紅葉が見事である。26年前の幽霊が出そうな山道とは違ってきた。
何年か前にこの山道で運転を誤って崖下に転落、死亡者がでたこともあるが、最近は道路工事が進んで、トンネルも整備された。女房が気味悪がった仙人峠も面目を一新したのだが、やはり大地震に見舞われると崖崩れの懸念が残る。
といって全道をトンネル化することは出来ない。山裾を縫うようにして道路をつけることになる。石や土砂が崩落しないように万全の調査が行われるが、それでも震度6強の地震の直撃を受けることまでは想定していないのではないか。
しかし地方に住む人たちにとっては、道路はすなわち生活道路である。仙人峠についていえば、西和賀町と北上市を結ぶ生活道路。北上市と横手市を結ぶ高速自動車道路があるが、県外の観光客は別として土地の者は高い高速道路は敬遠して仙人峠越えの道を選ぶ。
NHKが上空からヘリコプターで被災地の状況を伝えていたが、北上川の上流域にあたる宮城県の二迫川と、岩手県の磐井川の2つの河川の流域に土砂崩れが集中している。道路も陥没、寸断されている。生活道路が切断されれば、陸の孤島に置かれてしまう。
大都会の地震災害とは違う山間地の地震被害なのだが、規模の大小にかかわらず政府は果断に救援の手を差しのべなくてはならない。
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1929 山間地の地震災害 古沢襄
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