2000 台湾株を猛烈に買う投機家 宮崎正弘

なぜこの時期に? 馬英九・台湾総統がジム・ロジャースと会見。台湾株を猛烈に買う世界有数の投機家に、或る願望を委託?
6月25日、ジム・ロジャースと会見した馬英九の脳裏を去来したのはなにか?
ジム・ロジャースといえば世界一の投資家として知られるジョージ・ソロスと組んだ「クォンタムファンド」を事実上、牽引した世界有数の投資家として知られる。同ファンドは十年間で四十倍に資産を膨らませた。
ソロスの元を1978年に離れたジム・ロジャースは一時期、教職に就いたり、バイクで世界を弐周して旅行記を書いたり(それもベストセラーとなって翻訳も出た)、昨今はシンガポールに居を移し、娘を中国へ留学させ、「これからの株は中国だ」と獅子吼していた。
日本に講演旅行に来たときは「もう株式投資は駄目、これからは金、銀、石油などの『商品市場』への投資の時代だ」と説いて回った。
三月には台湾へ入り、かなり大量の台湾株を買った(『自由時報』6月26日付けによれば、ロジャーズの購入した台湾株はその後下落し、この時点で8%の損出を記録しているとか)。
馬英九は就任以来がた落ちの人気を気にしており、また台湾株が馬就任以後、続落をつづけていることに気を病んでいる。
政策的齟齬がつづき、馬総統の人気は50%を割り込み、また6月10日に発生した漁船沈没事件で尖閣諸島問題が急浮上し、反日活動家をコントロールできなかった政治的無能を問われ、ここで世界的著名人に台湾を賞賛する言辞を貰いたいところだった。
ジム・ロジャースは、その『期待』に答えてか、「これから台湾株は上がる。台湾海峡が経済的繁栄に恵まれ、政治的安定があれば、わたしはシンガポールから台北へ移住してもいいと考えている。台湾経済の未来は明るい」と発言した。
ジム・ロジャースとジョージ・ソロスとの区別をしらないほどだった馬英九は、この発言を歓迎したが、じつはロジャースは韓国へ行ったおりも、同様の発言をしており、台湾市場は「リップサービス」と受けとめた。
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