特殊部隊は五輪期間中、40ケ所で二十四時間待機。
北京公安副部長の孟宏悌が警告した。「北京五輪中、とくべつに警戒するべき対象は①五輪の機会を絶好の政治宣伝のチャンスと考えるテロリスト②東トルキストン独立運動を目指す過激派③治安対策で忙殺される隙をねらって重大犯罪が引き起こされる可能性の三点である」(博訊新聞網、7月3日)。
インドネシア当局は先日、イスラム原理主義過激派の活動家を予防拘束したが、主力メンバーが北京五輪開催施設を一覧する地図を携帯していたと発表した。
国際刑事機構(インターポール)は、このインドネシア事件にからみ、生物化学兵器を使ったテロの可能性に十分な根拠があると中国政府に警告した。
もとより北京開催が決まった直後から中国はテロリスト対策を幾重にも取り組んできた。9・11型の物理的テロより、北京がもっとも神経を使ってきたのは1995年3月20日に東京の中枢を襲ったサリンガス事件の類似テロ対策だった。
オウム真理教のサリンガス事件を、軍事的防疫的視点から克明に研究してきたのは、米国、中国、そしてロシアだった。
中国を旅行して筆者が肌で感じるのは「液体」検査の厳密さ。五月には蜂蜜の瓶まで没収されている日本人観光客がいた。荷物を開けさせられて、である。
9・11直後に米国は炭疽菌をばらまかれるテロの恐怖と闘った。
日本政府はサリン攻撃から僅か三時間後に、無色透明の化学物質をサリンを断定し、テレビニュースで公開し、さらに短時日に犯人グループを逮捕した。東京の事例が、ことのほか、中国当局の研究対象となった。
北京五輪期間中、生物化学兵器スペシャリストが188名、40ヶ所に分散待機する。
すでに2003年九月「長城2003」と銘打たれた軍事演習を皮切りに、2006年「長城2号」から、この六月の「長城5号」まで六回の生物化学兵器テロリスト対策演習が実施されている。
杜父魚ブログの全記事・索引リスト(7月7日現在2022本)
2042 生物化学兵器テロにおびえる北京 宮崎正弘

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