フィリピン沖に台風7号が発生したと天気予報が伝えてくれた。私は「梅雨も明けていないのに今度は台風か」と落胆した。私は雨降りが嫌いなのだ。
その理由の一つが1976年頃だったか雨降りを気にせずに半袖のシャツだけで外出して引き込んだ風邪がたちが悪くて非常に長引き、大いに苦しめられたことがあったことだ。
だが、第一の理由はアメリカで買った靴、雨に弱いことである。アメリカでは日本で買うよりも特に革製品が数段安いので、行く度に買っていた。
それにシアトルにはノードストロムという優秀な靴売り場があるデパートがあるからだ。日本で革製品が高いのは国内産業保護のために輸入品の関税が高いからと聞いている。
そのアメリカで買える靴はブランドと品質から考えればお買い得である。だが、問題がある。それは車社会の国の靴は、雨に対する備えが全くと言って良いほどできていないのである。これはイタリア製を買っても同じことだが。
その意味は、我々紙業界の言葉にすれば「サイズが効いていない」のである。これは水の浸透を防止する加工がされていないという意味で、雨に遭えば自慢の靴がたちまち駄目になってしまう危険性が高いのあるのである。
80年代後半にはアメリカかイタリア製の靴だけになってしまったことがあり、雨降りとなると深刻に悩んだものだった。だが、アメリカ人からゴム製のオーヴァー・シューズというカヴァーの如きものを教えられて購入し難を免れるようになった。
W社の本社があるワシントン州は雨が降る季節が長く、そのために木が良く育つので、雨降りを厭う者が少なかった。しかも彼らは濡れることを何とも思わないので困る。
近場ならば傘も差さずに靴を気にしないで歩いていく。また不思議なもので、あの地方の雨では日本の雨のようにびしょ濡れになることは希であった。それでも、私は靴が気懸かりで仕方がなかった。
ではあっても、雨降りに遭うと服の形が崩れると言って嫌う洒落者がいて、トランクには何時も傘を入れていたりするのだから、アメリカ人はよく解らない。
私も出張中に服が濡れては困るので、レインコートを持参して自衛策を講じていた。副社長兼事業本部長はキチンとアイロンが掛かっていないような服を着て出社することを嫌うのであるから、気にせざるを得なかった。
今や、革の靴を履いて出歩く生活ではないのだが、慣性となって「明日は外出の予定があるのに靴が濡れては困るな」つい気になってくる。梅雨は今週一杯は続くという予報である。まだまだ靴の心配をしなければならぬ季節は終わらないようだ。
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2051 雨に弱いアメリカ靴 前田正晶

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