中国が「西安への遷都を考慮中」とブッシュ大統領が耳打ち。洞爺湖でもたらせたガセに日本政府は踊らなかったが。
ブッシュ大統領が洞爺湖サミットで日米首脳会談中の雑談で福田首相にふと漏らした。
「中国は北京から西安へ遷都を検討している」と。
軍事上の理由が『週刊新潮』(7月24日号の36p)で飛び交っているが、ミサイル攻撃に弱い事だけが、遷都を検討している理由ではないだろう。
中国共産党の意図はなにか?
(1)五輪テロ対策の二重命令系統の確保
短期的にみるなら、テロ警戒の北京に万一あれば、臨時首都が必要で、ワーストシナリオを用意するのは世界の常識。ましてブッシュ大統領はは2001年9月11日の同時多発テロの時、特別機に乗り込んで数時間行方不明だった。
最高司令官として首都ワシントンでの指揮をチェイニーに部分的に権限を委譲した経過があった。
(2)首都機能の一部を移転し、西部開発の目玉とする
中期的展望で「開発」という文脈で考えると、重慶、成都、ラサ、ウィグルへの開発テコ入れに比べると西安ははるかに遅れを取った。長安の時代からの、この古都は観光だけで成立しているが、機能の一部を移転すれば、さらに発展が望める。
(3)長期的に言えば、砂漠化でいずれ北京は砂に埋まるから。
北京郊外の万里の長城は都心から一番近い居庸関まで20キロ。日本人観光客が行く八達嶺は、その少し先。そして万里の長城から北80キロのところまで砂漠化が進んでいる。
将来、水枯れによって北京の砂漠化もありうるシナリオであろう。砂漠のオアシス都市だったのに、水瓶の蜜雲湖と官庁湖は干し上がり、運河を緊急に造成し、近郊からは用水路を確保して水を確保しているが、基本的に地下水が枯渇した場所は、いつまでの人間が住めない。
さて、ブッシュ大統領は、いかなる思惑でこの情報を福田首相に耳打ちしたかは知るよしもないが、福田首相は無反応だった。
軽いジョークと受け取ったのか、安全保障上の理由も地政学的意味も飲み込めなかったのか。
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2053 北京は西安へ遷都? 宮崎正弘

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