2108 中央アジアの水戦争 宮崎正弘

旧ソ連中央アジア五カ国は91年にそれぞれが独立し、資源リッチのカザフスタンがいきなり富裕国家の仲間入り、たとえば隣国キルギスから夥しい技術者の出稼ぎがある。
キルギスは大学に恵まれていて海外からの留学も多い意外な一面がある。カザフスタンは、中国へのガスと石油を輸出し、おおいに外貨を稼いでいる。
さて問題は水である。
中央アジア一帯を流れるのは二つの大河である。アム・ダリア川は、ダジキスタンのパミール高原が水源で2400キロ。
シル・ダリア川は、キルギスの天山山脈から2200キロ、それぞれがウズベキスタン、カザフスタンを通過し、トルクメニスタンをかすめてアラル海へ流れ込む。
水源のキルギスとタジキスタンは、ともに最貧国。
しかし水が豊かなので、ダムを建設し水力発電で電気を輸出するくらい。ところがダムの調節が悪いのか、ときおり洪水が起こり、下流域のカザフ、ウズベキスタンに被害が出る。この二つの川に周辺諸国は90%の水資源を依存している。
ウズベキスタンは綿花栽培で有名で世界の綿花の20%を占めるほか、農業灌漑で水は絶対的に必要、カザフは工業化、生活用水としても水が大量に必要であり、嘗てはソビエト帝国が調整したが、いまやモスクワにそれほどの政治的強制力は望むべくもない。
水戦争の決着が当該地域では大きな政治争点となっている。
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