2118 日テレ記者と東京新聞カメラマンに暴力 古沢襄

中国新疆ウイグル自治区のカシュガルに入った日本人記者とカメラマンが、武装警官に拘束され、顔を殴られる暴行を受けた。二時間の拘束後、釈放されたが、中国国内での取材は命がけ。
自由主義の国家のような報道の自由は存在しない。カシュガル事件についても中国政府の発表しかない。地元の公安当局がいうように「東トルキスタン・イスラム過激派」のテロなのだろうか。
宮崎正弘氏が「東トルキスタン・イスラム党、ついに中国に“ジハード”を宣言」をしたと書いていた。「北京五輪直前、中国でさらに凶悪事件の前兆もある」と予測していたが、不幸にして当たってしまった。
東トルキスタン・イスラム党(イスラム原理主義過激派)が、北京へのジハードを宣言していたのは五月二十一日。 従来、イスラム過激派は「シオニスト」と「帝国主義」を敵と公言してテロ活動を展開してきたが、名指しで中国をあげたのは初めてである。
ジハード宣言は次のようなものであった。
 
「異端の中国人占領者は軍人、役人、政治家、経済人の如何を問わず、非合法の存在であり、ジハードの攻撃対象であると信じる…この声明は、彼等に対する宣戦布告である。従って彼等は東トルキスタンから直ちに撤退しなければならない」
東トルキスタンとは中国がいう「新彊ウィグル自治区」。イスラム教徒はこの地に侵入した中国人は軍人、政治家、役人、ビジネスマンをとわず「非合法」と決めつけて、戦いを宣言した。
「東トルキスタンに居住する中国人移住者を非合法の存在とみなす。彼等こそ、中国による占領を最も端的に具象化した存在である。彼等はトルキスタンから引揚げ、元の所へ戻らなければならない。この声明は、最初にして最後の警告である」
このジハード宣言は中国当局の知るところとなった。五月以来、新疆ウイグル自治区に対する軍、警察の規制行動が強化され、多数の検束者を出していた。東トルキスタン・イスラム過激派はほぼ壊滅したという見方もあった。
もしカシュガル事件が東トルキスタン・イスラム過激派によるものとすれば、中国当局の弾圧にもかかわらず過激派は健在なことを示している。ということは第二、第三のカシュガル事件が起こる可能性がある。
危険な取材だが日本の報道機関は、この取材報道を捨てるわけにはいかない。
<【カシュガル(中国新疆ウイグル自治区)5日共同】中国新疆ウイグル自治区での警官隊襲撃事件で、現地で取材中の日本テレビの邦人記者1人と東京新聞の邦人カメラマン1人が4日、武装警官に一時拘束され、顔を殴られるなどの暴行を受けた。2人は約2時間後に解放された。中国政府は北京五輪に向け海外メディアに取材の自由を保証するとしているが、今回の対応に批判が高まりそうだ。(共同)>
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