2148 主要国転落を予感させる日欧の「未来予想図」加瀬英明

七月の洞爺湖G8サミットが終わった。祭の大きなテントを張ったサーカスだった。中国の龍も、インド象も、南アフリカからアフリカ象もきた。二十二ヶ国が集まった。
税金の壮大な浪費だった。G8サミットを催して、マスコミがこれほど沸き立つのは、日本だけだ。まだ、田舎国家なのだ。
洞爺湖では具体的な合意が、何一つなかった。二〇五〇年までに温室効果ガスを半減することを目標とすることで合意したが、行動計画が欠けていた。高騰する原油価格についても協議したが、最大の産油国のサウジアラビアを招く知恵もなかった。
年齢順に二〇五〇年に、福田、ベルルスコーニ両首相が百十三歳、ブッシュ大統領が百四歳、ブラウン首相が九十九歳、サルコジ大統領とメルケル首相が九十五歳、最年少のメドベジェフ大統領が八十四歳になる。
それよりも、二〇五〇年にG8のうちヨーロッパと日本がどうなるか、考えたい。
ヨーロッパは少子・高齢化による労働力不足を補うために、大量のイスラム移民を受け入れた。イスラム移民は、フランスは主としてアルジェリア、イギリスはパキスタン、ドイツはトルコ、オランダは旧蘭印だったインドネシアからきた。ヨーロッパの白人社会において家族の力と信仰心が衰え、男女ともに快楽を求めて自己本位になったために、出生率が低下したのに対して、イスラム住民は貧しく、享楽的な文化に染まっていないので、出生率が高い。
そのために、ヨーロッパでは今世紀末を待たずに、イスラム住民が人口の半数を超すことが予想されている。すでにユーロとアラビアを足して、「ユーラビア」という新語が登場している。
イスラム住民が占める比率は、フランスが十%、オランダが六%、ドイツが五%、イギリスが三%である。不法移民を加えれば、さらに高くなる。出生率はそれぞれ一・八%、一・七%、一・三九%だが、統計にイスラム住民も含まれているので、白人はもっと低い。
二〇五〇年にはイスラム住民が、ヨーロッパの人口の三分の一を上回ることになる。イスラム諸国の出生率は高い。ヨーロッパの現在の平均年齢は三十七歳だが、アラブ諸国は若く二十歳だ。二〇五〇年にヨーロッパの白人社会は、平均年齢が五十二歳を超えると予測される。
このままゆくと、今世紀末前にイギリスは北(ノース)パキスタン、フランスは新(ヌーボ)アルジェリア、ドイツは新(ノイエ)トルコ、イタリーは新(ヌオボ)アルバニア、ベルギーはベルギスタンと改名されようと囁かれている。やがて白人とイスラム住民のあいだで、内戦が戦われるかもしれない。
二〇〇五年にイスラム住民がフランス全土で暴動を起したが、内戦の前哨戦だったともいわれる。いずれにせよ、古いヨーロッパを楽しもうと観光旅行に出かけるのなら、パリのノートルダム寺院がイスラム寺院になるかもしれないから、今のうちだ。
日本の出生率は一・三%だ。人口を現水準に保つためには二・一%を必要としているから、今後、日本の人口が急速に減ってゆく。
日本は二〇五〇年には今日の一億二千七百万人から、高い推定で一億八百万人、低い推定によれば九千二百万人にまで減る。これは先きの大戦によって亡くなった人の数より、はるかに多いものだ。そして、少子・高齢化が進むために、十五歳から六十四歳までの生産人口が激減する。いうまでもなく国の活力は、働く人の規模によって支えられる。
アメリカは出生率が二%台であり、二〇五〇年になっても、現在の平均年齢である三十五歳が続いてゆくものとみられる。
このままゆけば、日本も、ヨーロッパ諸国も、二〇五〇年には主要国でなくなっている可能性が高い。
国は戦争によるよりも、快楽主義によって滅びる。享楽的な生活を改めねばなるまい。
        
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