脱北者が北朝鮮の女スパイだったというニュースは、金大中、盧武鉉政権の時代だったら表面化しなかっただろう。それほど韓国に対する北朝鮮の工作員潜入は、この10年間で激しくなっている。
日本国内を震撼させた北工作員による拉致事件は、軍事政権下で潜入が難しい韓国に日本人になりすまして潜入することが目的だったという。今では日本を経由せずに大手を振って韓国に潜入できる。
ところが韓国夕刊紙・文化日報によると女スパイ・元正花の目的のひとつは、日本に入国して、日本に居住する脱北者を北朝鮮に送還するため、名簿などを集めていたと報じた。時事通信が伝えた。
新たな拉致を北朝鮮が計画しているとしたら、元正花スパイ事件は日本としても他国の事件ではない。
<【ソウル29日時事】29日付の韓国夕刊紙・文化日報は、脱北者を装い韓国でスパイ活動をしたとして27日に起訴された北朝鮮の女が、日本に居住する脱北者を北朝鮮に送還するため、名簿などを集めていたと報じた。
女は北朝鮮当局の指示で、昨年から今年にかけ3回、日本に入国。脱北者団体リーダーの住所を調べようとしていたという。(時事通信)>
韓国報道に強い産経新聞も文化日報の記事を転電してきた。元正花は北朝鮮と韓国の二重スパイだと暴露している。
さらに「今回の事件で10年間続いた親北政権下で緩んだ韓国の対北意識が露呈された」と次ぎにように指摘した。
この10年間で韓国で捕まったスパイは、元正花を含めて2人だけ。北朝鮮工作員が韓国の情報機関の監視網をすり抜け、軍などで堂々とスパイ活動を続けられた背景には、脱北者が増え続けている状況下で、明らかな犯罪行為がない限り監視が難しいという現状がある。
<【ソウル=水沼啓子】韓国検察は28日、脱北者を装った北朝鮮の女性スパイが実は、韓国情報機関に北朝鮮の情報を提供したこともある二重スパイだったと明らかにした。また、同日付の韓国紙「文化日報」は、北朝鮮の金正日総書記が脱北者の中に工作員を潜入させるよう直接、指示していたと報じた。
検察によると、27日に逮捕され、国家保安法違反罪で起訴された元(ウォン)正花(ジョンファ)被告(34)は2003年と翌年、情報収集を目的に近づいた韓国情報機関の男性要員2人から、北朝鮮の機密情報を入手し提供すれば毎月500万ウォン(約50万円)の報酬を出すと持ちかけられた。元正花被告はこれに応じた。
ただ、提供した情報は上司の承認を得たものだったという。同被告は男性要員2人を殺害するよう命じられたものの、“深い関係”にあり実行しなかった。同被告の実父や継父も北朝鮮の国家安全保衛部(秘密警察)所属の工作員だった。実父は1974年に韓国に潜入したが、射殺されたという。
一方、文化日報によると、2000年3月21日の労働党中央委員会で「金総書記から『脱北者の中に工作員を侵入させろ』という指示があり、国家安全保衛部をはじめ対南工作の関係部署による脱北者を利用した対南スパイ工作が始められた」という。
韓国統一省によると、今年6月末現在、韓国への脱北者は約1万4000人。元正花被告は01年10月に中国経由で韓国に渡り、翌月に韓国の情報機関「国家情報院」に脱北者だと申告した。その後、韓国の情報・捜査機関による身元、経歴調査を受けたが、工作員であることに気づかれず、02年1月、脱北者の韓国定住を支援する施設「ハナ院」に入所した。約8週間教育を受け退所し、韓国人としての生活を始めた。
同被告は今年7月までに、韓国政府から支援金など計9090万ウォン(約900万円)を受けており、結果的にスパイ活動の資金になった。
今回の事件では、10年間続いた親北政権下で緩んだ韓国の対北意識が露呈された。この10年間で韓国で捕まったスパイは、同被告を含めて2人だけだという。北朝鮮工作員が韓国の情報機関の監視網をすり抜け、軍などで堂々とスパイ活動を続けられた背景には、脱北者が増え続けている状況下で、明らかな犯罪行為がない限り監視が難しいという現状がある。
これまでの親北政権が北との関係に気を使い過ぎ、対南工作活動への監視を怠ったためという批判もある。李明博政権が誕生し、今後は工作員の摘発が増えるという見方もある。(産経新聞)>
韓国の中央日報は元正花の家族全員が北朝鮮の工作員だったと暴露している。北朝鮮側から見れば、確実な「スパイ名家」だったという。
元正花スパイ事件は、日本にとっても”他山の石”になるのではないか。スパイ天国は韓国だけではない。
<脱北者を装って韓国に亡命、スパイ活動を行っていたとして、国家保安法違反の疑いにより起訴された北朝鮮の女工作員、元正花(ウォン・ジョンファ、34)被告の家族は、全員韓国に派遣されたスパイ(南派工作員)、または北朝鮮の国家安全保衛部所属だったことが分かった。
北朝鮮側から見れば、確実な「スパイ名家」の子女と言えるということだ。元正花被告の実父と養父はいずれも南派工作員で、異父兄弟2人も国家保衛部の職員だ。父親は74年に北朝鮮工作員として韓国に侵入する途中で射殺されたという。
2年後に母親はキム某容疑者(63、逮捕)と再婚した。義父キム容疑者も南派工作員だ。キム容疑者は01年韓国に潜入した元被告の後を継いで、06年に韓国入りしている。元被告の上部の工作員としての役割を果たしていた。
キム容疑者は元被告のスパイ活動をサポートし、中国にいる北朝鮮保衛部の工作員と随時接触していた。北朝鮮当局の指令を受けて、軍事機密などを入手し北朝鮮側に提供するよう元被告を助けてきたと検察は見ている。
キム容疑者は今年7月27日に逮捕された後、水原(スウォン)地検の捜査を受けている。(中央日報)>
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2203 親北政権下で生まれたスパイ天国 古沢襄

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