アメリカのメデイアで共和党の副大統領候補にアラスカ州知事のサラ・ペイリンが選ばれると予想したところはなかったという。
世界的な通信社であるロイターが9月1日からの共和党大会の日程を27日に予告したが、初日はブッシュ大統領の演説に続いて「マケイン氏の副大統領候補と目されるミネソタ州知事のティム・ポーレンティ氏、カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツェネッガー氏、テキサス州知事のリック・ペリー氏、ジョー・リーバーマン上院議員(コネティカット州)なども演説を予定している」としている。
だから米各紙は30日付の社説で、マケインが副大統領候補に知名度の低いサラ・ペイリンを選んだことに一様に驚きを示した。民主党びいきのワシントン・ポストなどは「当惑している」としながらも、電子版では「女性票をかけた全面戦争始まる」との見出しをつけた。
保守的なウォールストリート・ジャーナルは「国民は変化を求めている。(サラ・ペイリンの)改革の足跡はオバマ以上」と好意的な論評をつけて、米メデイアの反応は二分している。
しかし「ゲーム・チェンジャー(試合の流れを変える人)」と米CNNテレビがサラ・ペイリンを呼んだように、本選に向け戦いの流れが大きく変わりうるという見方ではほぼ一致した。
サラ・ペイリンの担ぎ出しを誰が考えたのか謎である。しかし、かなり早くから用意周到に準備された形跡がある。
マケインはペイリン副大統領候補の発表地を激戦州オハイオに選んだ。サラ・ペイリンはアラスカから子供たちを連れて空路乗り込んでいる。オハイオ州は民主党予備選でヒラリー・クリントンが圧勝した土地柄である。
この地でサラ・ペイリンは、民主党の候補者指名レースで敗れたヒラリー・クリントンに最大級の賛辞を呈している。「ヒラリーは(女性の昇進を阻む)ガラスの天井に1800万(票)のひびを入れたが、私たちは今回を最後にそれを打ち砕くことができる」という演説はヒラリー支持者の心をくすぐった。
ヒラリー・クリントンはオハイオ州など中西部でも圧倒的な強さをみせた。とくに保守的な白人、女性、労働層に熱狂的な支持がある。共和党大会が終われば、マケイン・ペイリンのコンビはヒラリーの金城湯池に重点を置いた遊説をするのだろう。
オバマに肩入れするワシントン・ポストなどは「当惑している」という筈である。知名度の低いサラ・ペイリン旋風が吹くか、米大統領選も一人の女性副大統領候補の登場でにわかに面白くなってきた。
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