2210 米大統領選の予想を外すマスコミ 宮崎正弘

あの親中派代表格の米財務長官も「中国経済は危機に瀕するだろう」と認識。「都市化と賃上げがエネルギー不足を深刻化させる。資源が底をつく」。
米国財務長官の現職は歴代随一の親中派として知られるポールソン。「中国はまずます繁栄を続行するだろう」と言うのかと思ったら正反対の論文を最近号の『フォーリン・アフェアーズ』に書いていることがわかった(NEWSMAX、8月25日)。
趣旨は「都市化と賃上げがエネルギー不足を深刻化させる。資源が底をつく」とするもので、詳細は以下の通り。
「中国は深刻なトラブルに直面しており、五輪以後の国際的な関心は中国の国内経済の行方に移っている。とくに労働力の都市への移行(中国は都市化が40%から45%になった。ちなみに欧米は75%)と賃上げが顕著。
他方で貧富の差が拡大しており、エネルギー不足に原材料、食料不足が加わる。やがて中国経済が米国を越えるというのは悪い冗談。すでに一億人が農村から都市へ移動したが、これに高齢化社会が2015年からは中国の労働力も下降に入る。
ましておいしい、きれいな空気も水もなく、農地が減少している。すなわち深刻なトラブルにある」と。(拙訳により大意を意訳)
ちなみに都市と農村の賃金格差は公式統計で3・3vs1(中国農業部長)。
07年統計で、農村から都市への出稼ぎは2億2600万人(このうち郷鎮企業が吸収した農民が1億5000万人。この数字は新華社)。
(読者の声1)貴誌通巻第2302臨時増刊特大号で西村真悟議員が「。。。気になるのが、インド洋ソマリア沖での海賊による日本タンカー乗っ取りである」と書かれていますが、同感です。
こういう重要な問題を日本のマスコミや政界がとりあげないのが不思議です。独立後の米国が英国海軍の保護を受けられなくなりました。これは、由々しき事態です。
日本ではあまり知られていない地政学上とてつもなく重要なことですが、米国政府が独立の海軍力が充実するまで海賊にみか締め金を支払っていました。
ここ十数年来、私が主張している解決策があります。日本船籍の大型商船および小型でも貴重品を運んでいる輸送船に自衛隊員と銃器と観測機器を載せることを法律で義務付けるのです。
その結果、
1.日本船籍の安全が保たれる。
2.自衛隊員の実地訓練になる。
3.日本船籍の商船の保険料が下がる。つまり輸送コストが下がる。
海賊退治に役立つと歓迎する国も多くあるとおもいますが、自衛隊員の乗船や武器の搭載に反対する国もあることでしょう。
さしずめ日本との貿易量の多い国の中では中国が真っ先に反対することでしょう。そうしたらこう返答するのです。「了解しました。では、海賊が襲ったらすぐに発見でき対応できるよう、尖閣諸島に海上保安庁の基地を造ります」と宣言して、強力なレーダー付きの基地を造るのです。
要員は海上自衛隊から出向させればよいのです。このレーダーで得た情報は、米軍には垂涎の的でしょう。これは、今後の日米間外交交渉の強力な武器となります。(ST生、神奈川)
(宮崎正弘のコメント)「倭寇」を日本人海賊と勘違いしている向きが多いのですが、初期の倭寇は、たしかに日本人が指導者で乗組員がシナ人も多かった。後期倭寇は、日本人を偽装したシナの海賊でした。
(読者の声2)米大統領選挙の記事、とても興味深く拝見しました。わかりやすい言葉で、要点がコンパクトにおさえられていて、読みやすかったです。今アメリカで起こっていることを、リアルタイムで読み解くための強力なサポートをしていただけているようで、本当に助けになります。(Y生)
(宮崎正弘のコメント)日本の大手マスコミが、いつもアメリカ大統領選挙で予想を大きく外す傾向があります。第一に特派員の多くがNYタイムズなど北東部のリベラルな新聞の後追いが多いため、気づかない裡に民主党有利の記事を書いていることです。
第二に日本の特派員はワシントンやNYにいても、記者クラブというムラに住んでいて、独自取材が不得手。積極性がないのが致命傷ですね。もちろん産経の古森さんとか、例外もたくさんいますが。。。。
第三は共和党との人脈が極端に薄いためです。まして特派員の多くの日本人が本質的に民主党リベラル支持派ですから、その分析が偏向しているのです。
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