北朝鮮の金正日総書記が脳卒中にかかろうと他国のことではないか。日本には関係ないとという脳天気な声を聞く。一国平和主義の中で半世紀以上過ごしてきたから、国際的な変化の兆しにまったく反応できない”神経麻痺症状”におかされたままである。
幕末の日本人の方が遙かに国際的な変化に鋭敏な感覚を備えていた。阿片戦争の情報は支那商人を通して日本にもたらされ、下級武士階級に至るまで危機感を共有している。その危機感が明治維新を生んで、日本はアジアで先進的な近代国家に脱皮することができた。
1994年に日本海に米第7艦隊などの艦船が集結し、北朝鮮との間に一触即発の危機的状況が生まれた時に、日本は細川内閣・羽田内閣の瓦解を前にして、国内政局に血道をあげていた。恐ろしく脳天気な国家に成り下がっていたことを日本国民が知ったのは最近のことである。
当時のクリントン大統領は1994年秋に開戦するつもりでいた。開戦に伴う戦費や米軍と韓国軍の死傷者予測数などもこと細かく割り出された。米政権の動きに対してロックフェラー財団が戦争を回避し、北朝鮮との宥和路線で動き始めていた。
第二次朝鮮戦争が起これば、日本は無傷ではおれない。兵站基地化している日本は北朝鮮のミサイル攻撃の対象になる。国内に潜伏している北朝鮮工作員は破壊活動を活発化するであろう。
今の北朝鮮軍部は急進的なタカ派が権力を掌握している。その軍部を曲がりなりにもコントロールしてきたのが、将軍様である金正日総書記。姜錫柱ら金日成側近だった外務官僚たちがタカ派軍部とは違う動きをしてきた。
その金正日総書記が脳卒中で判断能力を失えば、力関係から言って急進的なタカ派軍部が走り出す危険がある。その兆候がすでに現れている。
金正日総書記の病状はアジアの平和にとって、極めて重要な情報となっている。金正日が平和主義者だとトボケたことを言っているのではない。独裁国家の”おもし”が外れた時の危険性を指摘している。
【ワシントン=有元隆志】米国では、北朝鮮の金正日総書記が脳卒中にかかり重病との見方が強まる中、核問題をめぐる交渉に影響が出ることに懸念の声が上がっている。
ボルトン元米国連大使は10日のFOXテレビの番組で、北朝鮮情勢について「だれが統治しているかはっきりするまでは、(核問題をめぐる)6カ国協議を凍結する必要がある」と語った。
ボルトン氏は金総書記が病気にかかったとみられる8月中旬以降、北朝鮮が寧辺の核施設の無能力化を中断したことについて、「金総書記が病気に倒れる前に決定されたことなのか、その後なのか。だれが実行に移したのかわからない」と疑問を投げかけた。
マコーマック国務省報道官は9日の記者会見で、ここ数週間、核施設の検証問題で北朝鮮側から反応がないことを認めた。
米シンクタンク、マンスフィールド財団のゴードン・フレーク所長は「無能力化などに消極的だった軍が主導権を握ることが、懸念されるシナリオだ」と述べた。米情報筋も「後継者が決まっていない中、金総書記が指導力を発揮できない状態が続くと内紛や混乱につながる可能性がある」との見通しを示した。
6カ国協議の米首席代表、ヒル国務次官補は6日、中国の武大偉外務次官と会談したが、真の目的は金総書記の病状について中国から説明を受けるとともに、今後の対応について意見交換することにあったのではとの見方も出ている。
一方、米議会調査局(CRS)の朝鮮問題専門官ラリー・ニクシュ氏は、金総書記が心臓病や糖尿病などの持病を抱えていたため、これらが脳卒中の引き金となった可能性を指摘。中国から平壌に医師団が派遣されたと伝えられる中、米政府が中国からの情報収集に努めているとの見方を示した。
ブッシュ米大統領は9、10の両日、米中央情報局(CIA)など情報機関から金総書記の容体に関する報告を受けたという。(産経)>
金正日総書記の病状については、米韓の情報当局者の間で脳血管疾患による発作から回復中という見方が生まれている。だが、発作から回復しても、正常な判断ができるとは限らない。軍部が独走する危険性は除去されていない。
<重病説が流れている北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記(66)について、韓国青瓦台(大統領官邸)は10日夜、同日開かれた緊急安保関係閣僚会議で、金総書記が「脳血管疾患による発作」から回復中であり、現在は深刻な状況ではないと見られるとの報告があったと発表した。国家情報院長の報告とみられる。
会議は李明博(イミョンバク)大統領が招集。北朝鮮内部の軍事動向を含めて、特異な動きはないとの報告もあったという。(毎日)>
<「北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記は最近健康に異常があったものの、回復しつつある」と米情報当局が判断していることが10日分かった。
米政府の高官は同日、「金総書記の健康異常説に関連、金総書記の健康状態は最近問題があったが、回復しつつあるものとみられる」と語ったとのことだ。
米情報当局は、金総書記の健康に関する状況に注視しており、さまざまなチャンネルを通じ健康不安説を分析している。
これについて、米政府の別の当局者は「金総書記が建国60周年記念行事に姿を見せなかったのは、非常に異例なこと。健康不安説に関する状況に注視している」と述べた。(朝鮮日報)>
(ソウル=福田要)北朝鮮建国60周年の閲兵式を欠席した金正日(キムジョンイル)総書記の重病説が広がっていることについて、韓国の李明博(イミョンバク)大統領は10日午前、情報の収集と分析のため、青瓦台(大統領府)首席秘書官を集めた緊急会議を開いた。会議後、政府高官の1人は「予断はできない。情報の信頼性や客観的状況を確認しなければならない」と述べ、慎重に見守る姿勢を示した。
金総書記の病状について10日付の韓国紙・中央日報は米国の外交消息筋の話として、数週間前に発病し、脳卒中で半身不随に陥っていると報道。一方、韓国の通信社・聯合ニュースは「最近脳卒中の手術を受けたが、病状は軽い。行事に参加しなかったのは後遺症のため」との政府機関関係者の話を伝えた。
また韓国紙・東亜日報は情報当局者の話として、8月中旬に中国人民解放軍所属の医師3人やフランスの脳神経外科専門医が訪朝したとしている。
同紙は韓国政府当局者の話として、中国が祝賀行事に特使を派遣していなかったとも報道。事前に(金総書記が出席する)正常な形で行わないことを連絡したのではないか、との見方を伝えている。>
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