2298 日本警察の警備・公安情報 古沢襄

六〇年安保から七〇年安保までの十年間、政治記者の目で日本の警察機構をみてきた。犯罪が知能化し数も増えたから、泥棒や犯罪者を捕らえる検挙率は年々落ちている。だが日本の警察の警備・公安機能は、世界的なレベルに達したのではないか。
七〇年安保の頃、国家公安委員長だった荒木満寿夫さんがよくそう言っていた。日本の警察機構で出世コースは、キャリア組、ノン・キャリア組の別なく警備畑。したがって優秀な人材が集まる。
そのノン・キャリア組が私のところに遊びにくる様になって付き合いが長くなった。警察庁の警備局は右翼担当と左翼担当があるらしいが、その右翼担当。すでに定年退職した御仁だが、数年前に「極秘情報ですが、金正日総書記は死亡していて、今のは影武者」と教えてくれたことがある。
「へー、影武者かい」と相づちを打ったのだが、にわかに信じる気にはなれない。「小泉総理が会った金正日は影武者です」とこの御仁はこだわる。また北朝鮮のナンバー・ツウは趙明録だという。
趙明録なんて聞いたことがなかった。ナンバー・ツウは最高人民会議常任委員長の金永南だといわれている。影武者といい、趙明録といいこの御仁の説は面白いが、突っ拍子がないところがある。
だが趙明録ナンバー・ツウ説は今では信じる気になっている。一九九八年九月五日に開かれた最高人民会議で、金正日総書記は共和国国防委員長に選ばれ、国防委員長は北朝鮮の政治、経済、軍事を領導する指導的な地位と決定した。
これ以降、金正日は重要会議での肩書きは総書記ではなく国防委員長。小泉首相と会った肩書きも金正日国防委員長だった。
趙明録はその共和国国防委員会に新設された第一副委員長、つまりは金正日に次ぐナンバー・ツウになっていた。二〇〇〇年には金正日国防委員長の特使として訪米している。本来なら元外相の金永南が特使であるべきではないか。
最近になって北朝鮮の情報通の間で金正日総書記がすでに死亡していて、今の金正日は影武者という説が信憑性を伴って流布されている。数年前の警察庁OB氏の影武者説が案外、本物だったのではないかと思ったりしている。
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