アジア最大規模の造船所プラントが上海に完成していた。LNGタンカーの量産体制から十年以内に空母建造へ。
五年前の冬のこと、上海に滞在していた私は現地紙をみて驚いた。
上海の北方にある中州「崇明島」に、中国最大の造船所を建設するというニュースが大きく扱われていたからだ。(崇明島は中国最大の島嶼)。
すぐに崇明島へ行った。
といっても上海市内から、フェリー乗り場までおよそ一時間半バスに揺られ、鉄鋼の町、宝山を抜けて、長江の岸壁にでる。
そこで船に乗って40分ほど。崇明島へたどり着く。一日がかりである。
行政区分では上海市に帰属するが、この島は時代が百年ほど戻った錯誤的風景である。島のフェリー乗り場は、まるで十九世紀末の清朝末期の駅前風景、並んでいるのはタクシーではなくて人力車。
スーパマーケットなんぞ一軒もなく、ぽつんと建つホテルで食事をしたが、地元のやくざ風の男達がトランプをしていたほか、客はいなかった。
そうした強烈な思い出があるので、よもや中国最大の造船所建設なんぞ夢物語ではないか、と考えたのである。
ところが。
中国の造船能力はおととし1600万トン、昨年は1893万トン、世界シェア、じつに23%。日本をぬいて韓国に迫る勢い。
注目すべきは日本のお家芸とされたLNGタンカーの建造に成功。第一号LNGタンカーは27ヶ月のスピードで作り上げた。
崇明島の長興島にある中国船舶工業集団公司の造船所はドック四基、一年の生産能力が450万トン、LNGのほか、コンテナ船。そして十年以内に5-6万トンクラスの空母を建設する手はずという。
空母を量産できる日がくるとすれば、近未来の中国海軍力はすさまじいことになる。
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