2313 大不況の足音(その1) 宮崎正弘

中国株、70%の大下落。当局、大々的な市場介入へ。リーマンへの出資、中国工商銀行だけでも1億5180万ドルだが。。。
「中国は株式売買の印紙税を暫定的にゼロとする措置に踏み切ったほか、国内株式市場への買い出動を関連各部門に通達した」(フィナンシャルタイムズ、18日付け)
 
昨年10月16日のピークから上海株式指数は70%の暴落を更新中で、即断即決の独裁国家だけに、対応は素早い。
しかし効果は期待できまい。
中国は、その世界一の外貨準備高=1兆8000億ドルのうちの、7000億ドルが米ドル建て、そのうちの4000億ドルを米国債で保有している。
ということは残り3000億ドルのうちの多くがリーマン、AIG、ベアスターンズなどへの投資と考えられる。
恐ろしい勢いで外国資金が撤退を始めている。
中国からも、日本からも。中国語は、これを「金融風暴」と表現し、ウォール街では「これぞ911に匹敵する金融テロ」と表現する投資家もいる。
ともかく後世の経済史家は、これを「大不況の始まりに過ぎなかった」と書くだろう。
日本株がウォール街に連動して連日暴落を続けるのは、ウォール街の投資家、金融機関が手元資金を充足するために損切りであっても、外国に所有する株と債券をたたき売って、手元にかき集めているからだ。
このため、外人株主比率の高いソニー、キヤノン、トヨタなどエクサレント・カンパニーが軒並み下落した。日本の優良株ですら、この有様。
「本来なら、日本独自のカンを働かせて勝負に挑む是川銀蔵などが健在なら、絶好の買いですが」(ト弱気に笑う市場関係者)。
さて中国の金融機関が保有するリーマン・ブラザーズへの出資額の一部が判明した(17日、新華社、多維新聞網など)。
中国工商銀行が1億5180万ドル、中国銀行が7562万ドルに加えて、同行のNY支店が、5000万ドルを独自に融資している。
中国招商銀行が7000万ドル。中国興業銀行が3360万ドル、ほかに中国建設銀行は「保有しているが、金額は不明」と情報開示を拒み、交通銀行も「保有しているが限定的」とした。
蛇足だが、米国では1933年に制定された「連邦預金保険制度」により、個人の預金は各口座で10万ドルを上限に保険で保証されている。日本もこれにならって上限1000万円の預金は保護される。
にもかかわらず全米各地で取り付け騒ぎが起きており、AIGシンガポールなどでも解約のために長い列が出来ている。
日本は?
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