危機は去ったか? まだそこにある世界金融大崩壊。モスクワは1800億ドル放出し、市場流動性を維持へ。
なぜか心理的な安心感が市場に拡大し、日本株も朝から上昇に転じた(22日午前九時20分)。
ロシアはやっぱり身勝手な國である。モスクワの株式市場と通貨ルーブルを安定させるために、1800億ドルの市場介入を決めた。
世界でも珍しくモスクワの株式相場が上昇している。
一方、議会の承認を得られるかどうか、ポールソン財務長官の大胆な救済案(7000億ドル)は、今夕、連邦議会に提出される。
だが、たとえ救出案が実現しても、これは後ろ向きの不良債権処理であって前向きの投資とはならないのである。
本質的に信用の縮小は継続し、空売りも禁止されたため市場の機能が急減する。銀行は本来の業務に支障がでる。
いかなる救済策、浮揚策がとられようとも、「経済は停滞の方向へ転回する」(GRIND TO HALT。ウォールストリート・ジャーナル、21日付け)
一ヶ月ほど前にイングランド銀行の市場担当チーフ、ポールタッカーが言った。「我々は金融戦争の突入している。だが敵は一体誰だ?」
年収3000万円、役員ボーナス五億円というのはざらだった。繁栄の極にあったウォール街は突如、荒野と化した。
豪華マンションが売りに出る。ポルシェは中古市場がにぎわい、ウォール街幹部が食した豪華レストランは枯れ木となり、逢い引きにつかった豪華ホテルは客が激減し、さらにはティファニーもブルガリも欧米では売れ行き不振に陥るだろう。
ウォール街ではすでに11万人の雇用が失われた。
リーマンブラザーズ、メリルリンチの失業の列がこのうえに重なり、おそらく20万人の高給取りが職と収入とを失う。NY市の税収も激減するだろう。
米国の金融異変は世界に様々な余波を及ぼした。
発展途上国の中でも、とくにエマージェンシーといわれた新興工業国家群は、ING銀Q行の調査で、合計1110億ドルの不良債権が生じるという。
またリーマンブラザーズの後処理問題、日本では資産保護が発令されたが、香港のリーマンブラザーズは、その部門買収などの後処理をめぐってスタンダード・チャータード銀行、野村證券、バークレー銀行が三つ巴の血みどろの主導権争い。
次の転回は思わぬ劇を生みそうだ。
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2324 経済は停滞の方向へ転回 宮崎正弘

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