米国発の金融危機は米下院が金融安定化法案を否決したので、さらに深刻な事態となっている。十一月に下院議院の選挙があるので、金融機関の不良資産を公的資金で買い上げる金融安定化法案は選挙民から不評を買っていた。選挙で落ちたくない議員心理が働いて法案を否決したともっぱら言われている。
金融安定化法案が通ればひとまずは危機的状況から脱するとみられていただけに影響は大きい。ニューヨークや東京市場の株価は急落、世界的な金融危機への不安が再燃している。
ワシントン・ロイターによれば、マケイン陣営がオバマ候補が民主党に指導力を発揮できなかったと早速オバマ批判を繰り広げている。法案否決の責任をオバマに被せようとしている。
「金融安定化法案が否決されたのは、オバマ氏と民主党が国よりも政治を優先させたためだ」という論法である。
<[ワシントン 29日 ロイター] 米下院が金融安定化法案を否決したことについて、大統領選の共和党候補マケイン氏の陣営は、指導力を発揮できなかったとして、民主党候補のオバマ氏を批判した。
オバマ氏は、最終的には合意は可能だと楽観している、と述べた。
マケイン氏の経済顧問、ダグラス・ホルツ・イーキン氏は声明で「オバマ氏は指導力の発揮に失敗、マケイン氏を攻撃した。オバマ氏は法案を支持するかどうか明確にすることすら拒否した」と述べた。
マケイン氏はワシントンで週末、関係者と電話で協議したが、議会に赴くことはなかった。一方、オバマ氏は、ポールソン米財務長官や議会指導部と電話で話し合いを行ったものの、選挙活動は継続した。
ホルツ・イーキン氏は「金融安定化法案が否決されたのは、オバマ氏と民主党が国よりも政治を優先させたためだ」との見方を示した。
下院は29日、金融安定化法案を反対228・賛成205で否決した。民主党は過半数が支持したのに対して、共和党では過半数が反対した。共和党の反対票は133で、民主党の反対票は95となった。
オバマ氏は、遊説先のコロラド州ウエストミンスターで、金融安定化法案は依然、成立する可能性がある、との見方を示した。オバマ氏は「民主党と共和党はともに、少なくとも目先の問題悪化を食い止められるような緊急救済パッケージをまとめる責任がある」と述べた。(ロイター)>
米国の騒ぎは日本の政局にも影響を与えている。世界的な金融危機が広がろうとしている時に解散・総選挙に入って、選挙運動というわけには参らない。
自民党の細田幹事長は記者会見で、「金融対策は一刻も猶予がならない状態だ。解散・総選挙に入って、選挙運動ばかりしている状況が今すぐあっていいのか、と言われれば、麻生首相は『まあ、待て』と言うだろう。米国と連携して事態収拾のめどが見えるまで、対応しないといけない」と述べた。
少なくとも野党の代表質問が終えたら今週末にも解散という政治スケジュールは延期せざるを得ない。いっそのこと来年春まで解散を延期したらどうだろう。与野党とも選挙近しとみて、走りだしているから難しい相談になるのだが・・・。
<麻生首相は30日午前、米下院の緊急経済安定化法案否決で国際的に金融不安が拡大している事態を受け、08年度補正予算案の早期成立に向け、週明けから予算委員会審議に入るよう自民党の大島国対委員長に指示した。首相は、東京株式市場の株価暴落に関し、対応に万全を期すよう指示。11月2日投開票の日程で行う方向だった次期衆院選は大幅に先送りされるとの見方が広がっている。(共同)>
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2344 金融安定化法案の否決で解散が日延べ 古沢襄

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