米議会下院は9月29日、金融危機対策でブッシュ政権が創設を求めていた不良資産の買い取り制度の法案を否決した。
ウォールストリート紙は「衝撃的な敗北、株式市場は気絶」とこう報じた。
<歴史的な緊急援助法案、僅差で下院が拒否。工業株指数は幅広い株式市場気絶の中、780ポイント下落迷走する金融システムを救う法案は下院で衝撃的な敗北をした。
国内外で信頼の「強い信号を送る」ブッシュからの市場への呼びかけを一蹴した。ダウ工業株指数は、過去最悪の780ポイント下げ、S&P 500指数は8.7%下落し た。>9月29日
ワシントンポスト紙は「大恐慌以来の最大の政府介入を拒絶」と報じている。
<下院が緊急援助法案を僅差で拒否
財務長官は「あまりにも重要であり、見送ることはできない」と努力を続けると誓う
下院は今日、大恐慌以来の金融市場への最大の政府介入を拒絶した。財務省に米国の財政危機の中心にある不良資産を最高7000億ドル購入する力を与えることを拒否したのだ。>9月29日
「ウォール街は死んだ」「投資家はどうしたらいいのか」といった記事もあり、法案成立を楽観視していただけに関係者は大きなショックを受けたろう。身内の共和党からの反対票も予想以上に多く、ブッシュ政権にとって大きなダメージだ。
<下院指導部は法案を見直して30日以降の再審議に持ち込む考えだが、国民負担増への反発が強く、見通しは極めて不透明になっている。>アサヒコム9月30日
<米金融安定化法案否決で世界の株価急落、ダウ過去最大の下げ
[ワシントン/ニューヨーク 29日 ロイター]下院本会議は29日、金融安定化法案を反対228票・賛成205票で否決した。特に共和党議員が11月4日に迫った大統領選を前に巨額の公的資金の投入に難色を示した。
スタンダード・ライフの上席株式トレーダー、スティーブン・バーティ氏は「解決策にたどり着けなかったとは信じ難い。法案が成立しない場合に極めて悲惨な状態になることは予想されていた」と述べた。
投資家は、安全な資金の逃避先とみなされている資産に殺到した。
国債や金の価格が急伸する一方、原油価格は下落。金融危機が経済活動を抑制して世界的に需要が減少するとの見方から、原油先物は1バレル=99ドルを割り込んだ。> 9月30日9時16分配信 ロイター
日米は選挙を延期せよ
米国と世界は未曾有の危機にある。「党派を越えて難局に当たろう」と米国の共和党と民主党は大統領候補を含めて基本的に合意しているようだが、11月の大統領本選挙は延期したほうがいいだろう。
というのも、米国は政権が代わると、「政治任用」(politicalappointee)という制度のために、役所のキーマンが総入れ替えになるのである。小生はそれでひどい目にあったことを記憶している。共和党に代わったら、米国大使館のそれまでの約束ががらっと変わったのである。
ウィキで調べたら「政治任用」とはこういうことだ。
「大統領の交代・前政権党の下野に伴い、新大統領に指名された各省の長官以下約3000名が行政府に送り込まれる。そのうち長官(閣僚)・次官・次官補など特に重要な人事は上院の承認が必要となる。すべての承認が終わるまで数ヶ月かかる」
今は金融危機の真っ最中である。このまま大統領選挙をやって、現場の幹部の人事に数ヶ月もかかったら、かなりまずいだろう。大統領選挙は、今回の危機をある程度脱出してからやったほうがいいのではないか。
日本の総選挙も同様に延期すべきだろう。GDPの1位と2位が選挙にうつつを抜かしている場合ではないのだから。
余震でかなりやばい状況で、しかも米国から緊急地震速報が発信されている。そんな危急存亡の折に総選挙というのは「バカ」としか言いようがない。「党派を越えて難局に当たろう」というのが良識、常識ではないか。
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