「マーキー」(marquee) と言う。サーカスやイベントなどで使う巨大なテントだ。巨大な支柱を立て、その回りに7本の中くらいの柱を立ててテントを支える。大きなものになると数千人も収容できそうだ。
世界中が米国を支柱にしたマーキーの下に暮らしている。「八紘一宇」とはこのことか。米国柱が今、揺らぎに揺らいでいる。残る7本の周辺柱(日、英、独、仏、伊、加、露)、さらに3本の柱(印、中、伯)でどうにか支えなければ、世界同時不況は免れない。
金融取引にうつつを抜かしている間に、米国の実体経済はすさまじく劣化してきた。米国は世界最大の自動車王国で、製鉄から化学、コンピュータ、金融にいたるまであらゆる産業の力を結集したのが自動車である。その自動車が危機にある。
<10月1日(ブルームバーグ):自動車大手各社が1日に発表した9月の米自動車販売によると、米フォード・モーター、トヨタ自動車およびホンダは前年同月比で減少した。
融資基準の厳格化で消費者の自動車購入が抑えられた。米ゼネラル・モーターズ(GM)の落ち込みは、アナリスト予想ほどは悪化しなかった。「従業員価格」で販売するディスカウントが奏功した。
フォードの販売台数は前年同月比35%減、トヨタは32%減、ホンダは24%減少した。GMと日産自動車はそれぞれ16%と37%の減少だった。
自動車業界全体では11カ月連続で減少したもよう。これは過去17年間で最長となる。金融危機を背景に金融機関がローン基準を引き上げているほか、消費者も支出を抑えている。
市場調査会社JDパワー・アンド・アソシエーツのアナリスト、トム・リビー氏は「業界全体で融資が問題になっている。また銀行が厳しい局面に立たされているニュースは心理的にも消費者に影響を及ぼしている」と語る。
ブルームバーグがまとめた予想平均では、9月の米自動車販売台数は業界全体で年率換算1300万台への減少が見込まれている。前年同月は同1620万台だった。>
リストラの嵐で失業率も上昇している。前年同期比33%増の首切りというのはほとんど大恐慌並ではないのか。
<10月1日(ブルームバーグ):米人材あっせん会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス(シカゴ)が1日発表したリポートによると、9月に米企業が発表した人員削減数(季節調整前)は、前年同期比33%増の9万5094人(前年同月は7万1739人)だった。
チャレンジャーによると、コンピューター大手のヒューレット・パッカード(HP)が先月、2万4600人の削減を発表したのが影響した。
個人消費の減速や引き続く住宅市場の不況で、企業は利益確保のために人員を削減している。ジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は発表文で「9月に起きた米金融危機が失業者数に反映されるまで、数週間か数カ月間かかるだろう。企業は経費を削減しており、技術投資は据え置かれるとみている」と述べた。
9月発表の人員削減数は前月(8万8736人)比では7.2%増。特にコンピューター関連企業での人員削減数は2万5715人と目立った。次いで自動車産業1万4595人、アパレル業界と金融業界がそれぞれ8350人と8244人を削減した。
年初からこれまで、金融業界での人員削減数は11万1201人と最大。自動車業界が9万4918人だった。>
医者なら米国を強制入院させて治療し、無節操な暴飲暴食の生活習慣を改めさせるだろう。放置すれば親兄弟を巻き添えに破滅しかねない。それほどの危機的状況にある。
選挙狂いの公明党と一国平和主義の民主党の党利党略で総選挙は近いそうだが、国益を考えれば「党派を越えて」景気対策に努めるべき秋(とき)なのだ。来年の7月あたりに衆院選挙と都議会選挙を一緒に行えば経費も節約できる。公明党がうるさく早期解散にこだわるのなら連立を解消してはどうか。
自民党がやるべきことをやり、それでも選挙に負けて下野しても、それが民意なら仕方がない。公明党の顔色をうかがって思うようにできない自民党を忸怩たる思いで見ているよりは、よほどスッキリしている。下野して政界再編を図るのもいいだろう。
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2355 世界は一家、みな不況 平井修一

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