2389 国家独占資本主義のススメ 平井修一

小生は立派な右翼として昇天したいものと、言論の一番右端の隅っこから小さな声をあげている。理論的にはケインジアン・マルキストで、ケインズとマルクスのおいしいところ取り、文学でいえば山本夏彦と司馬遼太郎のおいしいところ取りである。
ふたつの極端を併せ持っているから、大変都合はよいが、自分は何か、単なる口舌の徒かといつも自分自身を不審に思っている。このいい加減さが他人様からばれないように、いつも用心している。
3週間ほど前に経済評論家リチャード・クー氏が「公共投資で景気を回復せよ」という論文を産経紙上に載せた。おやおや、彼は古典的なケインジアンなのだなあ、今どきそれはどうかなあ、と思っていた。
1週間前に有名なエコノミスト、5人ほどが日経平均株価の底を予想していた。皆9500円前後。今は8200円ほどだから全員が外した。
普通のエコノミストは学者だから「非常の時には役立たないなぁ、非常の時には非常の才が必要だなぁ、リチャード・クーの言うところを検証する意味はあるだろう」と思っていたら、13日の産経新聞にリチャード・クーが再びケインズ理論を展開している。曰く「国力を挙げて早急に金融機関に資金を投入して金融不安を払拭せよ」。
99人のエコノミストがおたおたしているなかで、毅然とリチャード・クーが孤高の声をあげている。テネシー・バレー開発公社のような「公共投資で経済運営」論は復活しそうだ(もっとも米国経済が回復したのは戦争特需だという説のほうが有力だが)。
ケインジアン・マルキストとしては、ここではたと思うのである。ははん、市場原理主義ではなく、中国、ロシアの「国家独占(護送船団)資本主義」でしか、今の難局は乗り越えられないだろうなと。
国家主導での社会主義的計画経済を主張したのはナチスで、それは国家統制資本主義と瓜二つである。1929年の世界大恐慌を背景にナチスは「生活第一」と支持を集め、合法的に独裁強国を創り上げた。GDPは米国と並ぶほどだった。
今、日本も世界も、市場原理主義者を叩いている。市場原理主義の極端が「国家独占資本主義」であり、政府が力づくで経済を統制するものだ。口も出せば金も出す、政敵は皆殺しという、まあプーチン流(やりすぎだが)。
簡単に言えば金融機関や主要産業を「一時国有化」すること。国家経済運営のトップにトヨタ、キヤノンなどの優秀な経営者を迎えるのだ。「国家の一時民営化」「PFI民間活力導入」といってもいいだろう。
G7でにやにやしている白川日銀総裁のようなへなちょこの柔なエコノミストではなく、斬った張ったの歴戦の現役の愛国的ツワモノ経営者を迎えて、ゼロ(マイナス)金利政策、量的緩和政策などを断固として進めるのである。
国家としての方向性、目標を明確に設定することも必要だ。前回の大恐慌(1929年)からの回復には「満洲開拓」が奏功したと思う。そのような壮大な目標、例えばフランス並みに「年間7000万人外国人旅行者受け入れ大国」とか、「子育て大国」「高度医療・福祉大国」「エコ・エネルギー大国」「食の安心・安全大国」「世界の海洋警備大国」とか。
それくらいやらないと資本主義は立ち直らないし、やりようによっては日はまた昇るだろう。世界は日の出を待っている。
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