G7声明につづく各国の公的資金注入で株価は回復したが、とりあえずの延命ができてもモラルハザードでしかない。
基本の問題を横に置き難題を先送りする。英国の公的資金導入によるシティ活性化は先々週から英紙『エコノミスト』が予測していた。想定外はドイツだった。
いずれにしても先進各国は経済の大動脈である銀行のテコ入れを図るため公的資金の注入を決め、突如、世界の株式は反発、高騰につながった(10月14日)
日本も公的資金導入の法的淵源を回復するための立法措置を検討することになった。衆議院解散はまた延びた。麻生政権は来年まで延命することになるだろう。
嘗てバブル崩壊後の政策の躓きと決定の遅れで日本は政策のタイミングを大きく間違え、軽傷で済む筈の怪我が大やけどになった。
あの時、小生が主張したのは「戦略的に言えば、戦力の逐次投入ほど愚かな作戦はない。やるのなら大兵力の一挙投入でなければ効果がない」というもので、しかし日本はチビリチビリと結局数次にわたる投入、ならびに財政措置をとった。だからバブル処理は長引いた。
欧米はさすがに戦争慣れしている。大兵力投入で一挙に血路を開いた。しばしの延命はこれによって図られるだろう。けれども、ウォール街とシティの失敗による世界大不況は、むしろこれから始まるのであり、取り合えずの延命はなっても、次にもっと大きな傷口が開く。
モラルハザードは、しばしの小康状態をマーケットに出現させても、悪質なガンは内部で進行してしまうのだから。
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(読者の声1) 連日の解説有難う御座います。
先週(6―11日)、株価暴落以上に眼を見張ったのは円の暴騰でした。FXトレーダーや外貨建預金者の屍累々の一週間ではなかったでしょうか。対円に直滑降で暴落する外貨レートはまさにこの世のものとは思えませんでした。
落ちるナイフを素手で受ける、とはこのことだったのでしょうか。
アメリカは信教の自由があるのに IN GOD WE TRUST とは何事だ(GODが単数なので一神教を示す)と怒る多神教信者に米人がにやっと笑って、いやGOD のOとDの間にあるべきLが印刷ミスで抜けているだけさ、と答えたジョークをふと思い出しました。
ジョークではなくなりますか?
先生のメルマガを参考にしながらここ暫く誘惑に負けずキャッシュポジションをとっていました。有難う御座いました。まさに次は不気味な中国ですね。しばらく場外での観戦を続けます。(SW生 在カナダ)
(宮崎正弘のコメント)ははは。次は本当にGOLD になりますかね。
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2394 解散延び、麻生政権は延命 宮崎正弘

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