2404 中国の中小銀行が危機 宮崎正弘

中国の地方銀行から悲鳴が聞こえてきた。四大国有銀行も株価急落、地方銀行は不良債権の荒波に茫然。
経済状況の悪化によって中国の中小の銀行が危機に直面している。
地域活性化のために中小零細企業に貸し付けを展開してきた地方銀行が相当数、中国に存在する。
そのなかでも大手は「上海銀行」「南京銀行」「杭州銀行」など著名な地方銀行もあるが、地域密着型の、日本で言う「信用金庫」「信用組合」のたぐいは8500行ほどある。加えて125の都市には、その地域の商業銀行がある。
華南から浙江省にかけて、アパレル、雑貨など輸出産業は対米輸出激減で倒産が相次いでおり、銀行に取っては貸し倒れになる。
現実に繊維メーカー大手の「江龍集団」と「フェロチャイナ」が倒産し、膨大な不良債権が積み重なった。
「浙江省の企業の20%が経常利益赤字転落、寧波銀行に至っては金融引き締め政策に遭遇したあと90日間の貸し出しが全体の53%という短期勝負にでている」(ロイター、香港発。10月16日)。
福建省の工業銀行は貸し出しの15%がデベロッパー向け、全体的に「中国の銀行の住宅ローンは7%以下だから、米国ほどの住宅金融危機にはならない」などとする楽観論があるが、貸し出しのなかのデベロッパー向けが、住宅ローンよりも巨大であるポイントが見逃せない。
地方弱小銀行がもっともおそれている明日のシナリオとは、急激な世界的資金不足、株価暴落が引き起こした経済活動の縮小により、中国が直面するのは急激で大幅な信用の収縮。銀行そのものの倒産である。
 
一方、借り手側の中国人の心理とは「危なくなれば踏み倒してトンズラさ」。この心理は欧米や日本の企業家の倫理とまったく異なるのである。
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