2413 米紙「えげつないニッポン」 平井修一

金融マンはお金や不動産を見ると「こうすればもっと儲かるのに」と思うのだろう。小生は根っからのどんぶり勘定で、儲け話にはとんと興味がなく、タンス預金よりは安全だろうから銀行を利用しているだけという人種。まあ、株や投資信託に回すほどの金がないだけなのだが。
ワシントンポスト電子版(2008年10月19日)のトップ記事を見て驚いた。「豊かな日本では、危機は壮大なチャンス、議員が首相に欧米への投資を促す」とある。ほんまかいな。
<【東京発】投資銀行から日本の国会議員に転じたタムラ・コウタロウが、病めるグローバル経済を癒やし、すべての日本人をより豊かにし、アメリカの対日姿勢をさらに敬意あるようにするための、えげつない(immodest、慎みのない、無遠慮な、不謹慎な)提案をしている。
「我々は莫大なお金を持っているので、我々は特別な位置にある」とタムラは言った。すなわち政府外貨準備金がおよそ9500億ドル、公的な年金基金が1兆5000億ドル、個人金融資産の15兆ドル、うち8兆ドルは日本の銀行にひどく低い金利で預けられているという。
「我々は、我々がこのお金で世界を救う用意があるというシグナルを送らなければならない」と、彼はインタビューに答えた。
タムラは政権党の自由民主党内の65人の議員グループをリードし、麻生太郎首相に、世界的な金融メルトダウンを「日本の巨大な機会として」扱うよう提唱した。
彼ら議員グループは政府に対し、混乱する欧米の銀行に大量の現金をつぎ込んで、そのお返しに、特価で苦しむ会社資産を購入するよう主張している。
「あらゆる主要国の経済は崩壊した。そして、日本は世界で最も傷が浅い市場を持っている」とタムラは言う。
これまで麻生政権は、何もそのような投資について言ってこなかった。首相がこの考えをどう思うかについて尋ねられて、麻生首相のスポークスマンはコメントするのを辞退した・・・>
面白いのでもっと訳したいが、長くなるので止める。タムラが結局言いたいのは、「世界中がバーゲンセールだから日本はどんどん買うべきだ。失業者だって救われる。アメリカも感謝して、日本が怒っている北朝鮮テロ支援国家指定解除を見直すだろう。金融危機は日本のチャンスなのだ」。
西南戦争を起こした桐野利秋みたいな大言壮語。酒の席の与太話としては面白いが、国会議員が外国メディアに話す言葉ではない。野村證券がリーマンを買収したことで米国人は神経質になっている時期だからなおさらだ。それにしてもタムラ・コウタロウって誰だ。
<参議院議員 田村耕太郎(鳥取県)自民党(津島派)。当選2回。山一證券企業開発部(国内外のM&A仲介業務担当)出身。
2002年坂野重信参議院議員死去に伴う参議院鳥取県選挙区補欠選挙で無所属(自民党推薦)として立候補し、初当選。2004年の第20回参議院議員選挙では自民党公認で再選。
2006年、内閣府大臣政務官(経済財政政策・金融・再チャレンジ)に就任。日本版政府投資会社の設立を提唱している。財政金融委員会所属。>
ホリエモン、ファンド村上、リーマンのようなアチラ側の人で、慶應大学で非常勤講師をつとめた縁もあるのだろう、竹中平蔵とも仲がよい。
こういうカルーイ人がJ-REIT(上場不動産投資信託)など不動産証券化市場を活性化させよとか、政府系ファンドをつくれなどと国会で言っている。
「J-REIT初の倒産」が報じられたのは10月の初旬だった。政府系ファンドもつくったらリーマンになること間違いなしだろう。「おい、博打をやるなら自分の金で張れよなあ」と言いたい。
杜父魚ブログの全記事・索引リスト(10月18日現在2419本)

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