<【北京=加藤淳】アジア欧州会議(ASEM)首脳会議出席のため、中国訪問中の麻生首相は24日、北京市内で中韓両国首脳とそれぞれ会談した。
◆12月に日中韓会談◆
麻生首相は24日午前、北京市内のホテルで韓国の李明博大統領と就任後初の首脳会談を行った。首相は、日本、韓国、中国の3国首脳会談を年内に日本で開く方針を説明し、大統領も同意した。日本日本政府は12月中旬の福岡開催で調整している。>読売24日
私の判断では首相の胸中について野党は勿論、野党も間違っている。
一時の解散風などとっくに温帯低気圧になって、風など吹いていない。そこを見据えて解散権を持っている麻生首相は焦らし作戦により民主党議員たちの懐が空になることを狙っている。
元産経新聞の政治部長花岡信昭氏に依れば、
<早期解散を引き出そうとする民主党は、補正予算賛成、インド洋での海上自衛隊の給油支援継続の事実上の容認、日銀副総裁人事承認など、これまでの「何でも反対」を一変させ、国会審議の促進に躍起だ。
給油支援継続法(新テロ対策特措法改正案)は昨年は参院でたなざらしにして補給艦の一時帰国を余儀なくさせたのだが、今回は、衆院再可決を早々と認める方針を打ち出し、今月30日に成立する見込みだ。
国会審議をスピードアップさせ、解散に応じようとしない首相を追い込もうという作戦だが、解散権は首相の専権事項で、審議促進戦術が功を奏すかどうかは不透明な状況になってきた。>
<政府提出の予算案への賛否を小沢代表に「一任」したというのも、公党のあり方としては疑問が残る。党内論議を経て党の最高意思決定機関常任幹事会)で決めるのがスジではないか。>(いずれも花岡信昭メールマガジン 636号[2008・10・25])
書生論をいえば政府提出の予算とは施政方針を裏付けるものである。従って、政府に対抗している野党は、予算が本予算であろうが補正予算であろうが反対しなければ「筋」が通らない。
如何なる大目的が秘められていようが邪道である。加えて予算への賛否を小沢代表に一任とは呆れてものがいえない。一任を求めたのが小沢本人だとすれば、既に小沢氏は解散を急ぐあまり禁句であるはずの大連立と同じことをやったのである。
確かに総選挙をやれば自公が過半数を握れる可能性は低いらしい。各種の世論調査がそう言っている。麻生首相は十分承知している。そこへ起きたのがアメリカを震源地とする経済危機である。
<衆院解散をめぐる与野党の攻防は大詰めを迎えているが、ここへきて解散先送りの公算が強まってきた。「11月初めまでの解散、11月30日総選挙」が現時点で残された唯一の解散時期のタイミングのようで、麻生首相としては、これをしのぐと予算の年内編成をタテに解散越年に転じる可能性が濃い。>(同)
私の見方では麻生氏は福田康夫、安倍晋三氏らと全く違うものを持っている。それは「度胸」である。石炭から石油へのエネルギー「革命」の時に炭坑を経営していた「実績」がある。「血筋はいいが育ちは悪い」とご本人が言っている意味は、このことで「自負」している意味なのである。
何年にも亘って野中広務氏に煮え湯を飲まされながら平然としていられた「度胸」は血の小便を出しながら経営危機に耐えてきた年数に比べれば「屁の河童」のはずだ。タマが違う。
小沢氏はいろいろな手を用いて麻生氏を篭絡したつもりだったろうが、円高、株安を連日見せられている国民は、小沢氏の言う事を聞くだろうか。「今は選挙とか政権交代なんかしている時ではない」と言う雰囲気に変わり、日一日と強まっていくだろう。
この立場から麻生首相に金融法案成立などについて協力を求められた場合、、それを峻拒する度胸が小沢氏にあるか、どうか。
確かに走り出したら止まらないのも解散風だ。普通の選挙運動で1日で数百万円は飛ぶ。自民党内からさえ解散断行を迫る声が上がるのはカネのない若手議員に迫られた派閥領袖のうめきなのである。
しかし、経済危機に伴う政治的な国際外交日程を梃子にして麻生首相は政局を楽しむが如く、民主党焦らし作戦に転換したとみるべきである。
戦場で弾を受けたことが無いのに弾除けを知っている「度胸」は政局を食うだろう。
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