いつになったら底が見えるか?11月15日のG24(NY)までもみ合いが続きそう。
底値が見えれば世界同時株安はいったん安定(小康状態)になるという観測が各方面から上がりだしている。
日本は金融安定強化法の補正により10兆円の資金注入体制をとる。
すでにイギリスが9兆円、ドイツ11兆円、フランス6兆円。米国が7兆5000億円(いずれも一ドル=100円で換算)。
IMFはアイスランド救済に続き、ハンガリーとウクライナへの緊急融資を決めた。これで具体的数字が出てこないのは中国ぐらいだろう。
問題の本質をここでもう一度振り返ってみよう。
サブプライムの発端は、07年8月フランスのパリバ銀行である。ファンド運用の凍結を発表し、それが伏線となって08年3月のベアスターンズ救済、9月リーマンブラザーズ倒産、AIG救済へと繋がっている。
底値は米国の住宅価格である。
[V字型]回復は百分の一のシナリオだが、米国では基本的に住宅需要が高いため、いずれ住宅価格が底値を打てば回復する。問題は、それが幾らなのか?
あと20%住宅価格が下落して、そこで回復基調となれば、連鎖的に企業業績も上向き、株価が回復する。その前にGMの倒産などが複合すれば、このシナリオは元の木阿弥に戻るが。。
日本は不動産バブルで損失がおよそ200兆円、このうち150兆円が不良債権と化して、回復が長引いたが、米国と異なるのは少子化、人口減少により住宅需要が見込めないこと。米国は九秒にひとりという新移民があり、まだまだ住宅需要は旺盛なのである。
しかも、サブプライムの発端から現在(10月27日現在)までに損失は100兆円であって、日本のバブルよりも「軽傷」である。
にもかかわらず、米国の株価破綻、大不況がなぜ産まれたかといえば、CDS(クレジット・デッド・スワップ)の底知れぬ規模が目の前に横たわっているからだ。
▲全体6200兆円の、何%が実際の損害を受けるのか?
デリバティブの規模が6200兆円。ファニーメーとフレディマックの引き受けが570兆円。全米の四割。
AIGに対する政府金融支援が8兆9000億円。これで80%のAIGU株式取得とする。しかしAIGの資本金は8兆円、その六倍近い45兆円のCDSが世界に流れ出した。
CDSは、こまかく複雑に組み込まれて世界中のファンドに混入している。だから始末が悪く、全体像の具体的損害把握が出来ないのだ。
これらから、世界全体で“影響を受ける”債権市場は、およそ6200兆円と推定されるわけである。
したがって底値が見えるヒントは、これらの数字の中に隠れている。
となれば、IMFの損出見積もりが全世界で140兆円というのは、いかにも少ないシミュレーションでしかないことが分かる。この数字で済むのなら、日本一カ国のバブル破綻の全損害より少ないではないか。
もう二つほど論じられていない事柄がある。
第一は「戦争の錬金術」という視点。
第二は世界の安全保障システムと金融システムの裏のつながりです。
後者ふたつは稿を改める。
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