この急速な株安、円高は尋常ではない。麻生首相にとっては、格好の「解散先送り」の環境がととのいつつある、という言い方は不謹慎かもしれないが、どう考えても解散どころの話ではなくなった。
民主党の小沢代表は「国民の信頼を得た政権が経済対策をやるべきだ」などと、早期解散の必要性を強調しているが、どうやら、追い込まれているのは民主党のほうだ。
最新の世論調査(日経)によれば、「解散よりも景気対策を」という声が63%に達したという。内閣支持率は48%、不支持率43%。政党支持率は自民41%、民主31%だ。
現時点で想定されているのは、解散・総選挙があるとすれば、「11月18日公示、30日投開票」だ。解散から公示まで準備に2週間必要とされていることから、11月2、3日の連休後あたりには決断しなくてはならない。
解散先送りの機運が高まったことで、民主党は国会対応を一変させた。インド洋での補給支援活動継続のための新テロ特措法改正案は30日に成立(衆院再可決規定による)させる方向だったが、これを先延ばしするという。
早期解散に追い込むために、国会審議促進というこれまでとは逆の対応を取ってきた民主党だが、万一、早期解散を実現できなかったら、党執行部の責任問題が浮上しかねない。
昨年来の国会対応は総じて「何でも反対」だったが、それを「何でも賛成」に転換させたのだ。ここは小沢氏にとっても正念場だ。
いよいよ「麻生vs小沢」の神経戦が本番を迎えるといっていい。
麻生首相は一方では早期解散の可能性をちらつかせ、民主党の出方を牽制している。これにうっかり乗って、国会審議に協力したあげく解散先送りとなったら、民主党の「稚拙さ」が浮き彫りになるだけだ。
11月中旬には金融サミットも予定されている。世界経済に大きな責任を持つ日本が国内事情だけで総選挙をやるというのでは、国際社会に悪いメッセージを与えることになってしまう。
「100年に1度」あるかないかといわれる世界経済危機だ。民主党が政権担当能力を示す最もいい方法は、政治休戦に出て、自民党とこの金融危機に協調して対処することではないか。
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2437 解散どころではない 花岡信昭

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