およそ1兆ドル、その7%がキャッシュという奇妙なアンバランス。
アジ全体での国富ファンドは1兆ドルと見積もられ、世界全体の29%を占めるとドイツ銀行は推定している。
豪州やインド、韓国、台湾、香港などの国富ファンドが、シンガポールと中国の後塵を拝している。
アジアの国富ファンドのハシリはシンガポールだった。
政府系ファンドと「テマサク・ファンド」は先見力のある投資を展開し、近年は中国南方航空の株式取得など、海外での活躍が目立った。
また海外の優良企業の筆頭株主に躍り出たり、社債を購入してきた。これら社債の償還は2009年度中に172億ドルに達する。
これに刺激された中国は、膨大な外貨準備高から2000億ドルを割いて「中国投資公司」(CIC)を設立し、まずは肝試しとブラックストーンへ30億ドル、モルガンスタンレーへ50億ドル。合計80億ドルが、直後からの株暴落で時価が20億ドルを切った。関係者は真っ青、NYタイムズの推定では、残り1800億ドル内外をCICは、「まだキャッシュでもっている」(同紙、10月29日付け)。
キャッシュに戻して、豊富な資金が帰国し始めた。
第一に産油国やロシアは、海外から資本を引き上げて自国の、或いは地域の銀行にキャッシュを戻している。銀行の安定化を兼ねている。
第二に、企業投資の選別が始まり、(1)ユティリテイィ産業と(2)インフラ関連株の選択が顕著となった。
つまり、不況でも売り上げに関係のない産業とは電力、ガス。同時に各国では景気対策として、大々的な公共投資が始まるから道路建設などに欠かせない建機、鉄鋼などへの投資見直しである。
第三にキャッシュ・ポジションが異様に高いが、いずれ、英国と日本株に集中する動きがでる、と予測している。
日本の市場でも上記の流れで電力株やインフラ関連銘柄が買われ始めたようだ。
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