異常な円高がつづく裡に日本がやるべきことは?米国のシンクタンクに日本研究を、ハリウッド映画で日本評価の映画を制作させよ。
円が異常に高い。しかも為替市場は一ドル=80円台に向かって突き進んでいる。
日本から見れば、「ドル安」かと錯覚するのは、日米二国間の通貨関係という「空間」をみているからで、世界を相対的に比較すれば円ばかりか、実はドルも異様な高みにあるのだ。
第一に対ユーロで、六月のピークだった163円が、昨日は121円。対ドルで1・5近辺から1・3へ。ユーロ加盟二十二カ国は、事実上のドル高の渦中にいる。(来年二月に欧州企業が決算発表。大赤字続出が予測され、おそらくその頃、欧州株が底を撃ち、ユーロの対ドルレート1対1の等価となる可能性が高い)。
第二に、ユーロ安に連動して東欧の通貨は軒並み対ドルで30-40%の下落、ウクライナなど50%の下落である。(余談だがウクライナの農地は買い時)
第三は資源国の通貨もカナダを除いて異様なほどの「ドル高」である。南ア、豪州、インドネシアなど資源立国も、カナダを除いて、通貨は激安。とくにオーストラリア通貨の暴落で、中国のファンドが2000億ドルの損出をだしたように、資源国通貨も対ドルレート急落。
対日、対中以外ドルは異常なほどに強い(10月30日現在まで)。結論を言えば、日本円は現在のところ、「世界最強の通貨」である。
この強い円をむしろ攻撃武器として、日本がするべきことは以下の通り。百年に一度の危機は「百年に一度のチャンス」でもある。
▲次世代ハイテクの基礎研究が標的
(1)欧米の優良企業の買収。とくにR&Dにすぐれたラボ付帯する企業買収。また大手マスコミは買収できないが、現地法人を通じて筆頭株主になることが出来る。反日ジャーナリズム是正のためにメディアの事実上の買収も視野に。
(2)資源鉱区(原油、ガス、レアメタル)の買収。たとえば中国が法外な金額で投資して倒産しそうな鉱山を買いたたく。ブラジル、豪州などに出物アリ。
(3)海外における優良資産の形成。海外に農地を確保して穀物生産など。
(4)金の戦略備蓄。金ドル本位制に移行する可能性にも備える。
(5)米国、英国などのシンクタンクに献金し、日本研究を行わせる(改憲、東京裁判の見直しなど)。
民主党政権になればブルッキングス研究所やカーネギー財団などが主流になるので、むしろ冷や飯をくうヘリティジ財団、AEI、CSISなどへ。大学へも日本学講座の寄付。不況のハリウッド映画に出資し、日本を宣伝する映画を作らせる(たとえば南京大虐殺は疑問という映画を有名監督に)。
▲国内の内需喚起はプロジェクト
他方、日本国内のインフラ整備、内需拡大という景気対策だが、いまの補正予算のようなパッチワークではなく、本腰をいれた国家の基本整備に振り向けるべきだろう。
もっとも基本は「インフラストラクチャー」へのテコ入れではなく、「スーパーストラクチャー」(頭脳)の再建におかれるべきで、教育方面のテコ入れが重要だが。。
第一に防衛力整備に集中するべきである。国防予算でも、兵員の充足も大事だが、このチャンスを生かすとすればR&D(研究開発費)に大規模な予算をつける
第二はリニア鉄道、新幹線整備の本格化、日本沿岸のシェルター建設、北海道のハブ空港拡充。羽田空港の整備など。
第三に医療関係の拡充。とくに国策として医者不足を解消する。
第四に円高によるデフレ懸念への本格対策など。
危機をチャンスに生かす発想の転換が必要ではないのか。
杜父魚ブログの全記事・索引リスト(10月18日現在2419本)
2447 強い円をむしろ攻撃武器として 宮崎正弘

コメント