2450 「麻生主導政局」が固まった 花岡信昭

考えられることはすべて並べたということか。麻生首相が発表した経済対策を見て、そう感じる。
解散を先送りする一方で、「100年に1度」の経済金融危機を乗り切るためのメニューをずらりとそろえて、さあ、どうだ、といわんばかりだ。
最も注目したいのは、3年後の消費税引き上げを打ち出したことだ。消費税がいずれ10%(あるいは20%)になるのは避けて通れない。
そのことは民主党も本音では分かっている。政治判断として打ち出せるかどうかが問われていた。増税を掲げて選挙は戦えない。
こういうかたちで、景気対策一括メニューを提示し、同時に消費税増税の必要性を認知させる。その政治判断はなかなかだ。
総額26兆9000億円。住宅ローン減税、1世帯6万円の給付金、子育て支援3万6000円、高速道路は休日1000円・・・。
ばらまき批判はあるだろうが、なに、民主党も農家への個別所得補償や子育て手当増額を掲げていたのだから、真っ向から批判できるわけがない。
政治はタイミングとメリハリがものをいう。麻生首相の記者会見はなにやら、質問する記者側が押されっぱなしの印象を強めた。
「解散時期は自分が決める」。解散権は首相の専権事項なのだから、これが当然だ。それをしれっと繰り返す「したたかさ」も十分に感じ取れた。
こう書いていくと、またぞろ、自民党応援団のたわごとといったコメントがくるかもしれないが、政治をリアリズムで見る視点からすれば、麻生首相はこの政局を手中にした、といっていい。
政治の局面転換というのは、おもしろいもので、瞬時にしてやってくる。「麻生主導政局」へ一気に舵が切られたという印象を受ける。
さあ、民主党はどうするか。早期解散を引き出すとして、国会審議促進策を取ってきたのだが、それが果たせないとなると、党内から執行部批判が噴出しかねない。
杜父魚ブログの全記事・索引リスト(10月18日現在2419本)

コメント

タイトルとURLをコピーしました