<民主党の小沢代表は4日午後、衆院解散・総選挙の先送りにより政権交代への期待感がしぼむとの見方があることに対し「自公政権に対する不信感、不満は今後も変わることがない」と反論し、引き続き政権交代を追求すると強調した。同日午前の役員会では「年末、年明けまでには必ず衆院選はある。必ず勝利するとの気概を持って頑張ってほしい」と述べ、選挙態勢を緩めないよう幹部に指示した。(共同)>
さもあろう。「年内に総選挙がある」と断言して民主党を引っ張ってきた小沢代表だから今更「見立が間違っていた」とは言えない。「年末、年明けまでには必ず衆院選はある」と言い換えるしかない。
だが解散・総選挙を来年の四月以降にまで先送りされたら、選挙に強いという”小沢神話”も地に墜ちる。落選議員や新人が多い民主党は、いつあるか分からない選挙のために長期間も選挙態勢をとる資金的な余裕がない。短期決戦で一気に雌雄を決するしかない。それを解散権を持つ麻生首相に読まれている。
小沢代表の選挙区である岩手四区でのんびりと温泉旅行を楽しんできた。地元では小沢氏の東京選挙区への国替え説を本気にする者は誰もいない。県道一号線沿いの両側には麻生首相と小沢代表のポスターがベタベタと貼られている。その間にまじって自民党から出る高橋嘉信氏のポスターが出ていた。
「小沢の影に高橋あり」・「選挙の達人」・「自由党の軍師」と言われた小沢側近の高橋氏だったが、岩手四区から小沢氏の対抗馬として出馬する。小沢氏以外の民主党候補なら高橋氏にも勝機がある。
小沢代表の東京選挙区への国替え説は、ポッポ鳩山幹事長が話題作りで勝手に作ったヨタ話というのが地元のもっぱらの見方である。新聞やテレビが飛びついて話題が先行してしまったが、当の小沢氏は何も言っていない。
それよりも岩手二区で激しい前哨戦が始まっていた。小沢氏の金城湯池である岩手といわれるが、鈴木善幸元首相以来の自民党の堅い地盤がある二区だけは攻め落とせないできた。息子の鈴木俊一元環境庁長官が孤塁を守ってきている。
麻生首相の夫人は鈴木善幸元首相の娘さんだから鈴木氏とは義理の兄弟関係にある。麻生政権になって鈴木氏の岩手二区は安全圏かと思うと逆である。
小沢氏はその面目にかけて岩手二区の攻略戦を始めた。その狙いは二つ。
麻生首相の義理の兄弟選挙区を攻略することによって、麻生人気もたいしたことはない、という風評を広める政治的な効果が生まれる。身内の選挙区に麻生首相があまりかかわれば、自民党内から批判が巻き起こる。
もうひとつは岩手二区を制覇することによって、岩手県は全選挙区を小沢が握り、名実ともに小沢王国ができる。
小沢氏の東京国替え説よりも岩手二区の攻防戦の方が大きい話題なのである。激しい小沢民主党の攻勢に対して危機感を持つ岩手自民党では「麻生首相がついているから、比例順位で優遇して貰える」というムードが早くも出ているという。
これは逆ではないか。もし岩手の選挙区で自民党が比例順位で優遇措置をとるのなら、岩手四区に果敢に斬り込んだ高橋嘉信氏を優先させるべきであろう。岩手二区の鈴木俊一氏に比例順位で優先したら、戦わずして岩手民主党に城門を開くことになる。身内を優先した麻生首相に対する批判も党内から出るであろう。
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2458 ポッポ鳩山幹事長のヨタ話 古沢襄

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