2462 ワシントポスト紙社説 翻訳:平井修一

【2008年11月5日】オバマ大統領 多難なときの新しい指針、人種和解への新しい夜明け
バラク・オバマ氏がアメリカ合衆国の第44代大統領になる。
数百万のアメリカ人とともに、我々はフレーズを味わい、勝者を祝福し、そしてこの結果の重要性に注目する。それが告げる世代の変化、それが反映する地政学的再編、それが認め、かつ約束する人種和解の進歩。
この選挙には重大な意味がある。とりわけオバマ氏の勝利は、国を新しい、より良い方向へ導くために重大な意味がある。彼が昨晩言ったように、愛国心、奉仕、責任の新しい精神が染み込んだ方向だ。
オバマ氏が取り組む難問を過小評価すべきではない。彼の対抗馬に投票した何百万ものアメリカ人との和解も含めて。
彼の勝利は、ヴァージニアなど赤い(共和党支持だった)州を含めてほとんど全国的な支持に負っており、一つにはジョージ W. ブッシュへの不満と経済についての不安も追い風になった。
しかし、国のあらゆる地域での彼の勝利は、新任の大統領に、ブッシュ氏が実践し、あるいはジョン・マケイン氏が説いたより信頼できる経済プログラムを提唱する機会を与えたいという有権者の意欲を示している。
オバマ氏が支持者の間で生み出した興奮は、悩み分かれていた国を鼓舞し安心させる能力を示唆している。彼の効果的で、規律を守った、時に非情な選挙キャンペーンは、想像も及ばない複雑な問題に悩まされる政府を運営する能力を示唆している。
そして、知性と雄弁のコンビネーション、コンセンサスに対する明白な素質とともに、彼が今非常に必要とされるリーダーシップを提供できるという望みを与えてくれる。
オバマ氏はブッシュ氏の遺産を消すことはできない。しかし、彼には世界でアメリカの地位を改善する機会がある。同盟国の目から見ればこの国を貶めたような、捕虜の拷問と不明確な拘束といった有害な行為を終えることができる。
彼には、地球温暖化を減らす方向へ国をセットアップする機会がある。彼には、エネルギー、健康管理、教育に関する広範囲にわたる計画がある。しかしまた、経済の状態が彼の挑戦を遮るかもしれないという現実的な理解もある。
我々(ワシントンポスト)が大統領としてオバマ氏を支持したとき、我々は人種に言及しなかった。人種が我々の決定な役割を演じなかったという単純な理由のためだ。オバマ氏は、2人の良い候補者の中でより良かったからだ。しかし、人種はこの瞬間に非常に意味を持つ。
奴隷制度と差別の傷は決して消されることがない。神話的な「ポスト人種」時代へ国の進歩を記録することはできないできた。それでも、アメリカ人はアフリカ系アメリカ人の大統領の実現によって動かされないことがあろうか? 
公民権法と投票権法が最悪のジムクロウ法(人種隔離策)を非合法化する前に、就学差別をやめさせる最高裁判所命令が至る所で戦われていたとき、多数の州がカンザス州の白人の母と黒人のケニヤの父の結婚を禁止していたとき、オバマ氏は生まれたのだ。ほとんどその時誰も、実際2、3年前ですら、この日を誰も予測しなかったのだ。
負けた候補は、我々にとっては最も深い尊敬を抱く政治指導者の1人である。そして、マケイン氏の丁寧で雄弁な敗北宣言は「なぜ彼ほどの候補者が負けたのだろうか」と思わせるものだった。
彼の人生体験は、彼の力のもとになっている。彼が遊説でしばしば言ったように、彼は大統領戦で負けることよりはるかに大きな試練に耐えてきたのだ。マケイン氏が戻る上院は、オバマ政権のスタイルと成功にとって重要な役割を演じる。
マケイン氏の昨晩の呼びかけ、「団結した善意と熱意」とオバマ氏への彼の誓約「我々が取り組む多くの難問を通してオバマ氏が我々をリードするのを全力で支持する」という言葉は、米国への奉仕においては超党派的に提携するという彼の歴史に沿ったものだった。
オバマ氏はそれに答えて国民にこう語った。「私は今夜あなたに勝たなかったかもしれません、しかし、私はあなたの声を聞き、私はあなたの支援を必要とし、そして、私はあなたの大統領になります」
それは厳しい選挙キャンペーンへの喜ばしい最終楽章であり、新しい政治時代にふさわしい前奏曲だった。
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