2008年10月、東京ではインフルエンザの流行が始まり、学校の学級閉鎖のニュースが聞かれるようになった。
日本などの温帯では冬期に毎年のように流行する。通常、11月下旬から12月上旬頃に最初の発生、12月下旬に小ピーク。学校が冬休みの間は小康状態で、翌年の1―3月頃にその数が増加しピークを迎えて4―5月には流行は収まるパターンである。
区役所の奨めで2008年も10月中旬に近所の医院でインフルエンザの予防接種を受けた。ここ20年で、風邪は1度しか引いたことはないが、インフルエンザは風邪とは別物らしいから奨めに応じた。
インフルエンザは風邪(普通感冒)とは異なる。インフルエンザ(Influenza)はイン「フルエンザウイルス」による急性感染症の一種で流行性感冒(りゅうこうせいかんぼう)、略称・流感(りゅうかん)ともいう。
発病すると、高熱、筋肉痛などを伴う風邪の様な症状があらわれる。症状は似ているが黴菌の種類が違う。いずれ、合併症としての肺炎とインフルエンザ脳症があり、ごく稀に急性脳症や2次感染により死亡することもあるというから老人にとっては只事ではない。最近は略して「インフル」と言うらしい。
インフルエンザウイルスにはA・B・Cの3型があり、このうちA型とB型がヒトのインフルエンザの原因になる。
予防の一般的な方法として最も効果が高いのはワクチンを使用した予防接種である。A型インフルエンザはとりわけ感染力が強く、症状も重篤になる傾向がある。 稀にA型、B型の両方を併発する場合もある。
現行の皮下接種(注射)ワクチンは感染予防より重症化の防止に重点が置かれた予防法であり、健康な成人でも感染防御レベルの免疫を獲得できる割合は70%弱(同時期に2度接種した場合は90%程度までUP)である。
感染経路は咳・くしゃみなどによる飛沫感染が主であり、口・鼻から呼吸器系に感染する。ただし、飛沫核感染(空気感染)や接触感染など違った形式によるものもある。
予防にはマスクが大変有用であり飛沫感染に対しては特に効果的であるが、形状や機能性などによっては完全に防げない場合もある。マスクだけでは接触感染を防ぐことができないため、手洗いなどの対策も必要である。
潜伏期間は1―2日が通常であるが、最大7日までである。 感染者が他人へウイルスを伝播させる時期は発症の前日から症状が軽快してのちおよそ2日後までである。症状が軽快してから2日ほど経つまでは通勤や通学は控えた方がよい。
インフルエンザと人類との関わりは古く、古代エジプトにはすでにインフルエンザと見られる病気の記録が残っている。最も重大な転機は1918(大正7)年から翌」1919年にかけて発生したスペインインフルエンザの世界的な大流行(パンデミック)である。
古老はこれを「スペイン風邪」というからインフルエンザでは無いと思っていたが、正確には「スペインインフルエンザ」だったのである。感染者数6億人、死亡者数4000―5000万人(さらに多いという説もある)にのぼり、第1次世界大戦終結の遠因ともいわれる。
このスペインインフルエンザ以降も、インフルエンザは毎年継続して感染流行を起こしている。また、さらに数年から数十年ごとに新型のヒトインフルエンザの出現とその新型ウイルスのパンデミックが起こっており、毒性の強い場合は多数の死者が出る。
近年は新型ヒトインフルエンザのパンデミックが数十年起こっていないこと、死亡率の減少などから「インフルエンザは風邪の一種、恐れる病気にあらず」と捉える人が多くなったが、これは誤解である。
インフルエンザの症状はいわゆる風邪と呼ばれる症状の中でも別格と言えるほど重く、区別して扱う事も多い。また、パンデミック化したインフルエンザは人類にとって危険なウイルスである。
日本では江戸時代に長崎から持ち込まれたインフルエンザウイルスが幾度か全国的に流行し、「お七かぜ」「谷風」「琉球風」「お駒風」など当時の世相を反映した名称で呼ばれた。
古くから風邪、風疫とされるとおり、悪い風が吹いて人々を病気にするという認識があった。幕末にはインフルエンザの名称が蘭学者より持ち込まれ、流行性感冒と訳された。
「インフルエンザ」の語は16世紀のイタリアで名付けられた、「影響」を意味するラテン語:influentia(英語でいうinfluence)にちなんでこの流行性の感冒をインフルエンザと名付けた。この語が18世紀にイギリスで流行した際に英語に持ち込まれ、世界的に使用されるようになった。出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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2481 風邪とインフルエンザ 渡部亮次郎

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