マカオの空気が一変、不況の荒波は新カジノ・ホテル建設を中断させる。九州の温泉も韓国からの観光客が去って閑古鳥、業者の悲鳴。
マカオのカジノ・ビジネスは破竹の勢いだった。
本場ラスベガスの売り上げを抜き去り、ことしは20%成長といわれた。ラスベガスの本場からサンズ・グループ,KKRなどがマカオへ上陸して豪華ホテルが23軒も乱立し、ネオン輝く二十四時間の不夜城。博打客がホテルを埋めた。
筆者も一昨年に取材したが、ロビィではロシアの美女のダンス、フロアにはトランプ、チップが乱れ飛び、目の色を変えた中国人の博徒らが夜を徹してマネー・ゲームに興じていた。(中国人に限らず博徒の目は、どうしてあんなに怪しい光をおびているのか?)。
豪華カジノ・ホテル地下の特別部屋にはVIP専用個室がならび、その裡の一つは金正日のお坊ちゃま専用だった(そこだけ写真撮影不許可だった)。
狂乱は去った。
株式がピークから82%の大暴落を演じ、不動産暴落は秒読み段階。中国政府は総額57兆円という破天荒なテコ入れを決めたが、上海株式は僅かに5%回復し、しかも一日で回復基調が去り、翌日から下落を再開した。
57兆円の景気刺激策は数字こそ破天荒だが、なかみはとりあえず1兆4000億円の追加で、今後四年間の総額。しかも従来の予算を、その中に含んでいるコトが分かり、まやかしに近いのだ。(ま、ごまかし専門の中国ゆえ驚くべきコトでもないのだが・・・)
さて、マカオで新ホテルの豪華博打場「ベネチアン・マカオ」の建設は、ラスベガスの博打場チャンピオンであるシェルダン・エーデルソンが率いるサンズ・グループである。
エーデルソンは11日に記者会見し、この新ホテルの「建設の中断」を発表した。
第三四半期のマカオのカジノ売り上げは32億ドルで、前年比10%のダウン。見通しが暗いからと理由を説明した。(ヘラルドトリビューン、11月12日付け)。
もとよりマカオは99年に中国に返還されたものの香港と同じく一国両制度が適用された経済特区。主要産業はカジノだけ。
この賭場めがけて毎年1500万人の博徒が中国大陸から押し寄せるのだが、VIPは共産党幹部である。
ここでデベロッパー相手に博打をやって、業者が「わざと負ける」。勝ち金は、領収証が発行され、合法的に幹部の懐に入る。つまりマカオで「賄賂の洗浄」がなされるわけである。
中国経済が破竹の勢いを失って深刻な不況入りし、不動産価格の下落、売れ行き低迷という大不況が示すのは、デベロッパーと癒着してきた共産党幹部の実入りが激減した事実であり、したがってマカオが寂れるのは当然なのである。
サンズ・グループのホテル建設中断の裏に、こういう理由がある。
▲韓国の対馬土地買い占め脅威もウォン急落で解決する
蛇足ながら対馬を韓国企業が片っ端から買っているので、攘夷的なナショナリズムが日本で大いに湧いているが、それほどの懸念は不必要ではないか。
なぜならロックフェラービルを日本の企業が買っても、或いはロスの目抜き通りのビルを片っ端から日本の秀和が買ってもアメリカ人は反発するより高値買いを喜んだ。「不動産は持って帰れない」からだ。
対馬問題では、二つにわけて考えると良い。
不動産買いは過疎地の地価を押し上げていて、どのみち韓国に持って帰れない。
韓国ウォンは急落した。55%の落下とは100円が45円になったのである。もう対馬の土地を買えるどころか、たたき売りが近いのでは?
何が九州でおきているか?
雲仙、嬉野、黒川、別府、高千穂、湯布院・・・
韓国からの観光客で繁栄していた、これらの有名な温泉地が、いま“ガラ空き”である。天璋院篤姫ブームで支えられてきた指宿温泉さえも、韓国からの観光客は不在に近いという。
世界金融危機の被害はカジノや温泉地にも飛び火した。
杜父魚ブログの全記事・索引リスト(11月5日現在2470本)
2484 不夜城マカオが寂れる 宮崎正弘

コメント