2494 オバマ政権はGM保護主義 宮崎正弘

GMは救済するより倒産させた方が効率的ではないか。オバマ政権、シカゴ労働組合に屈してGMを無駄に救済するだろうけれど・・・。
GM倒産は秒読みである。
2009年一月、ちょうど大統領就任式あたりがタイム・リミット。それまでに繋ぎ融資を決めるのはブッシュ政権である。
財務省の担当者はカシュカリ財務次官補。
かれは13日の議会公聴会で徹底的に議員から吊し上げられた。議会人の関心は選挙区と政治資金、企業城下町代表はその地域産業であり、民主党でウォール街擁護者はNY州選出のシューマー上院議員くらいだろう。
だから税金をつかって「ウォール街の高給取り」を救済する必要はないという強い批判にまだ答え続けるのだ。産業の基幹血脈である銀行をつぶしたら産業そのものも壊滅する、と。
さて米国経済界でもう一つの真剣な議論がある。
GMはいっそ倒産させた方が良いのではないか、というのだ。要点をかいつまむと、GMは労組と退職社員への年金負担、非能率な設備がガンである。一方で広大な福利施設がある。
生産システムはどっぷりと石油燃料対応のクルマしか作れず、電気自動車やエタノールへの対応は職能制度と労組の反対で、日本のようなフレキシビリティがない。つまり電気カーは電気工しかタッチできないからだ。
もし倒産となると、下請けを入れた直接の関係者は130万人。家族や関連企業を入れると、600万人ほどが路頭に迷うことになる。
 
日本への悪影響も巨大である。
嫉妬に火が付き米国進出のトヨタ、日産、ホンダなど怨嗟の的になる。嫌がらせも続くだろう。
同時にGMの下請けで部品を造っている多くに日本企業がある。一例がブレーキを殆ど造っている曙ブレーキだ。
したがって米国産業界の顔を代表するGMを、次期オバマ政権は倒産させるわけにはいかない。まして労働組合は民主党の選挙基盤、シカゴはその本丸。
日本への風当たり、オバマ政権は保護主義に急傾斜することも目に見えている。
だが、GMのような巨大組織、肥大化した企業は、もはや次期エコカー開発でさえ遅れをとったマンモスであり、その巨体を維持させても、競争力のある次期エコカー開発は、体質的に(それが労働組合の存在だ)不可能。
マンモスは環境の変化に適応できずに死んだ。GMはその二の舞に、いずれなる。
ならば法律的に倒産させて、新生GMを立ち上げ、非能率部門を片っ端から売却し、人員も大幅に削減して、小型カーと次期エコカー開発に専念した方が効率が上がるという議論が浮上しているが、この方に説得力がある。
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