ヒラリー国務長官指名説、どうやらオバマは本気らしい。民主党内融和目的と、四年後にヒラリーを閣内封じ込めへ。
ヒラリー・クリントンを次期国務長官に指名する動きが加速化している。はやければ、この週末にオバマは最初の閣僚人事を発表する動きだ。
先週にヒラリー国務長官説のニュースが流れ出した理由は、シカゴでヒラリーがオバマと面談し、そのとき夫のクリントン元大統領はクエートにいて「彼女は経験豊かですばらしい、傑出した国務長官が務まるだろう」とフライング発言を繰り出したからだ(でも、なぜクエートにいたのか、その謎は後節で)。
当初、オバマ夫人がヒラリーを嫌っているため、NY州知事転出説が最有力だった。
ところが、民主党内融和のためには「ヒラリー派」をどうしてもオバマ政権内部に引きつけておく必要に迫られ、また四年後の再選にむけてヒラリーを野放しにすると、その挙動は党内分裂の契機にもなりかねない。
彼女を閣内にむしろ、封じ込める作戦にでる可能性が高まったのだ。
ただしオバマ陣営が気に病むのはヒラリー陣営の金銭スキャンダルだ。
第一はヒラリーその人にまつわる醜聞の数々。
予備選の最中に発覚した怪しげな中国人ロビィストからの巨額献金など、そのチャイナコネクションのスキャンダララスな側面があり、新たな証拠を持ち出されて共和党が攻撃に転じた場合、議会公聴会での承認が長引く。オバマ政権の出発時点でマスコミ攻撃に晒される可能性がある。
第二は夫君ビル・クリントン(元大統領)の金銭スキャンダルである。
こちらの方は大統領経験者だけに、もっとビッグだ。なにしろ在任中のモニカ・ルインスキーちゃんとの情事が発覚。偽証で大統領弾劾に追い込まれても「あれは挿入していなかったからセックスではない」と開き直った。
ニクソンは弾劾される寸前に辞任に追い込まれたが、クリントンは明らかに露骨な左翼マスコミの支援によって、かろうじて弾劾を逃れた。
離任後、クリントンは「元大統領」の肩書きで回想録、講演、外国との取引。「クリントン財団」がすでに手にして金額は五億ドルにものぼるが、これは本の印税や破格の講演料などで得られたモノではない。
それらの“本業”は全体の収入から見れば微々たる金額で、多くが「クリントン・グローバル・イニシャティブ」と名乗る“慈善団体”に入る仕組みになっており、この慈善団体は世界各地でAIDS撲滅運動などのフィランソロフィ活動を展開している。
実態は謎である。
とくに多くの外国との取引は面妖な側面があり、しかもクリントン財団へ寄付したところはサウジ王家、クエート政府、アラブ首長国連邦、カタール政府、モロッコ国王。
また製薬会社との癒着も指摘されており、「これらの財政内容を検査しない限り、ヒラリー指名が本物になることはない」と関係者はシニカルにみている。
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2504 再びヒラリー国務長官指名説 宮崎正弘

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