民主党に期待を抱く人たちは少なくない。だが小沢代表、山岡国対策委員長の我田引水的な手法に眉をひそめる人たちも少なからずいる。いきなり党首会談を申し入れて、第2次補正予算案を今国会に提出しなければ、参院で合意した新テロ対策特別措置法改正案の18日採決を白紙に戻すというのだから、乱暴極まりない。
裏返せば、年内解散・総選挙が必ずあると民主党を引っ張ってきた小沢代表が、実現不可能な情勢となって、なりふり構わない横車を押したに過ぎない。それが証拠には民主党内でも戸惑いや混乱が生じている。
”ご乱心気味”の小沢代表だが、鳩山幹事長ら党幹部が唯々諾々として小沢氏に従っている様も奇観としか言いようがない。小沢氏の横車が度重なると民主党支持者たちが離れていくことになりかねない。横車を押して”手詰まり”になるのは民主党の方である。
選挙情勢が芳しくない麻生首相にとって、小沢横車はむしろもっけの幸いではないか。待てば海路の日和ということもある。政策課題を政局に利用するのは邪道なだけでなく、ブーメランのように自分に戻って怪我をする。
<【主張】党首会談 「政局」に戻してはならぬ
麻生太郎首相と民主党の小沢一郎代表との党首会談が急遽(きゅうきょ)行われ、首相は追加経済対策を裏付ける第2次補正予算案の今国会提出に最大限努力する考えを示した。
しかし、補正予算案の早期審議入りを求める民主党は納得せず、衆参の審議をストップ、18日に予定していた新テロ対策特別措置法改正案の参院外交防衛委員会での採決も先送りすることを決めた。
特措法改正案は、今週中に衆院再議決を経て成立する運びだった。民主党がこれを補正予算案と結び付け、再び政局の材料にするというのは理解しがたい。
民主党が参院での採決を引き延ばした場合、憲法59条に基づいて衆院再議決に持ち込むとしても、政府側は参院送付から60日間を見込んでおかなければならない。特措法改正案の採決がずれ込んだ場合、今月30日で切れる臨時国会の会期延長についても、検討を迫られることになる。
昨年から今年1月にかけての臨時国会でも、特措法をめぐる攻防が続いた。金融・経済政策の議論が最重要視される時期に、民主党は引き延ばし戦術を再現しようというのだろうか。
米国のオバマ新政権は、アフガニスタンへの増派などテロとの戦いを強化する可能性がある。インド洋での海上自衛隊による補給活動は、テロとの戦いへの参加を象徴するものであり、今後の日米関係にも重大な影響を及ぼす。民主党には国益や国民生活を重視した国会対応を改めて求めたい。
一方、首相は民主党の主張にかかわらず、補正予算案に関する対処方針を早急に示し、必要な政策の実現に取り組むべきである。
党首会談は、民主党が政府・与党に要求して行われた。首相は衆院解散よりも当面の経済対策を優先させると語った。それなら、追加経済対策を裏付ける補正予算案を早急に提出して審議すべきだ。民主党のそうした言い分には、もっともな点もある。
政府・与党が今国会への補正予算案提出に消極的なのは、野党から選挙向けのばらまきといった批判を受ける事態が懸念されたからだともいわれる。
定額給付金の所得制限をめぐる議論が迷走した背景には、政策決定に至る政府内の議論の甘さもあった。国会審議に耐えられる制度設計なのかどうか、再点検する必要性は大きい。(産経)>
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