2508 イスラエルにオバマへの不安感 宮崎正弘

イスラエル政界、オバマへの不安感からリクードが復活の様相。モシャヤ・ヤアロン将軍も、リクードから出馬。中間各派は支持率下げる。
米国のオバマ次期政権をもっとも不安視しているのはイスラエルである。
先月、連立工作に失敗したイスラエルは09年二月に総選挙。オバマ当選までイスラエルの世論調査では、圧倒的に連立与党「カディマ」の勝利を予測し、リビニ(現在の国防相)が次期首相有力だった。
カディマはシャロン元首相が、与党リクードと労働党の有志議員をつのってにわかに連立政権をつくった新党。オルマルト首相は、しかしながらスキャンダルで辞任を決意し、次期後継首相にリビニが党内で決まっていたのだ。
ハーレツ紙(イスラエルの有力紙)11月20日付けは、独自の世論調査の結果、いま、リクードのベンジャミン・ネタニヤフ(元首相)が圧倒的にリードしており、どの政党もリクードの人気復活にかなわないと、意外な数字を出した。
64vs56の大差でリクード主導の連立が、「カディマ+労働党」を破るという予測だ。(イスラエル国会クネセトは定員120)。
リクードは、国民的人気が高いモシャ・ヤアロン将軍が政界に転じて立候補を予定。かれが出馬すると、労働党のバラク(元国防相、首相)、カディマのモファッツ(元国防相)の人気を凌駕するだろう。
他方、労働党のアセロン議員と少数宗教政党「メイマド」のメルコール党首は新党設立の話し合いを始めたとハーレツ紙が伝えている。
どれもこれも予測を覆る世論調査結果だが、オバマ政権誕生をイスラエルが脅威視している、動かぬ証拠だ。
一方、アメリカの世論調査ではパレスチナ支援6に対してイスラエル支援が66%と十倍の開きがある。それがアメリカの世論である。
     
(読者の声1)貴誌11月20日付けでのコメントに「中国は日本を抜き去って、世界一の米国債保有を誇ることとなった。対照的に日本は一千億ドル近く、米国債保有を減らしていることが判明した。」とあります。
一千億ドルは、ほぼ「10兆円」に相当します。今年になって米国債保有を1千億ドル減らした日本は、この世界金融危機にあたり、米国から、「減らした1千億ドル相当をIMFに拠出せよ」と強制されたのではないでしょうか? 今年になり米国債保有を増やした中国の方が米国からの戦略的パートナーとしての評価は高いのではないでしょうか?  フト、このようなことを連想しました。(KI生、尼崎市)
(宮崎正弘のコメント)同様なご質問が意外と多くの方から頂きました。日本の米国債投資は、しかしながら野村證券など大手金融機関が「自主的」判断で、有利だから買い、総合比較で、もっと有利な金融商品がでてくれば、乗り換えるというのが市場の現実です。
IMF増資に関しても、英国は日本の英断を絶賛しましたが、ワシントンの反応はいまいち、パトスも情熱もない。
米国としては世界銀行=IMFというブレトンウッズ体制の綻びを修繕しても、決して主導権を日本に渡したくないからでしょう。
また日本の保有減は六月のことで、十月末からいわれたIMF増資のための拠金予定額とは偶然に数字が一致しますが、時系列で考えると因果関係はなさそうです。
中国が米国債保有で世界一 宮崎正弘(再掲載)
米国債保有、正式に中国が世界一を認めた。九月末に日本の保有高を抜いていた。
08年九月末現在、中国の米国債保有高は5850億ドル。二位の日本は5732億ドル。ちなみに三位は英国で3384億ドル。
中国は日本を抜き去って、世界一の米国債保有を誇ることとなった。
対照的に日本は一千億ドル近く、米国債保有を減らしていることが判明した。中国が正式に日本を抜いたと発表したのはこれが初めてである。
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