2517 オバマ政権は大きなリスクを伴う 宮崎正弘

ヒラリー・クリントンを国務長官にすると、オバマ政権内部は分裂気味濃厚。経済閣僚をみて、「これではクリントン王朝の再来ではないか」と危惧の声。
オバマは民主党予備選で、党内鉄壁の組織を築いてきた、いわゆる“クリントン民主党”を簒奪した。
それがしこりとなって九月までは党内団結がならず、マケインにリードを許していた。
九月のリーマンの倒産という一種の“神風”が吹かなければ、マケイン共和党の辛勝だった可能性が高い。
さて選挙後数週間を経て、次期財務長官には予想通り、ガイスナーNY連銀理事が選ばれ、大統領経済顧問にサマーズ元財務長官が“復活”した。サマーズは次期FRB議長候補となる。
これではまるでクリントン王朝の財務チームが復活してきた錯覚にとらわれる。いや、率直にいってアメリカも人材不足?
 
ヒラリー・クリントンの国務長官就任説は日増しに有力となり、オバマは米国外交をヒラリーに丸投げする形となる様相だ。
親中反日路線を突き進むヒラリーは危険だとする日本の立場とは異なって、アメリカの国務省はどうやらヒラリー歓迎の姿勢である。
他方、民主党にとって敵対的で伝統的になじめない体質をもつ、保守の牙城=ペンタゴンは、クリントン初期の国防長官を共和党系に渡たしたように、今回もゲイツ国防長官をしばし留任させ、共和党の不安を解消する段取りのようだ。
いみじくもヒトラーが言った「政治は右を切り左をきって中道を歩むのです」(三島由紀夫『わが友、ヒトラー』)。
『オバマはヒラリーを引き入れることによって政権内に旧ライバルを競合させる段取りだが、それは大きなリスクを伴うだろう』(TIME、12月1日号)。
杜父魚ブログの全記事・索引リスト(11月21日現在2524本)

コメント

タイトルとURLをコピーしました