米国では今やバンカーの信用は地に落ちている。子供がバンカーになりたいなどと言い出したらそれこそ人生の終わりである、とブルームバーグ・ニュースのコラムニスト、マーク・ギルバート氏が“警鐘”を鳴らしている(2008/11/28)。ここは笑うしかない?
<子供からこんなことを言われたら、ショックを受けない親はいないだろう。「パパ、ママ、僕ってほかの子供と違うと思ってたでしょ。本当のことを言うとね、僕はバンカーになるために生まれてきたんだ!」
大切なわが子、わが跡継ぎ、わが家系の継承者が人生最大の過ちを犯し、家名を汚すのを、どうやって阻止したらいいのだろう。一族の中に金融業界人がいるという恥を避けるために、子供にはこんな職業を勧めてみよう。>
そのお勧め職業がふるっている。
1位 海賊
<このところ海賊は世界で最も注目されている職業だ。もちろん、スーパータンカーをハイジャックするのは原油が1バレル=140ドルの時の方が、50ドルの時よりもいいのは確かだが、海運運賃は過去1年で90%下落し、海運業者は十分な武装をする金がないから海賊業にプラスだ。>
海自がソマリア沖で活躍するのはいつになるのだろう。情けない国に成り下がってしまった。
2位 公務員
<投資銀行で働く理由は、魅力的な報酬といつの日か最高経営責任者(CEO)になれるかもしれないという望みの2つだけだ。しかし、「この『AAA』格付けの債務担保証券(CDO)は・・」などとしゃべるだけで高級車が買える時代は終わった。金融機関で指図できる人間になりたいなら、公務員になるのが早道だ。何のことはない、世界の金
融業界人の半分は今や政府の下で働いているのだ。>
成功は独り占め、失敗は皆のもの。立ち直るまで年俸1ドルでやってくれ。
3位 ヘリコプターの操縦士
<米財務省は輪転機の回転スピードが追いつく限り最速のペースで金をばらまいている。2002年の「デフレ阻止演説」でバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長(当時は理事)は、デフレに陥った場合にはヘリコプターから紙幣をばらまけばよいとする趣旨の発言をし、「ヘリコプター・ベン」の異名を取った。子供にヘリコプターの操縦を習わせれば、近い将来FRBに就職できるかもしれない。>
定額給付もいっそのことばらまいたらどうか。赤瀬川源平が言っていたと思うが、使用期限を設けるというのはいいアイデアである。
4位 聖職者
<「共通の恩恵を中心的な目標に据えた経済システムの発展は、確固とした倫理システムが基盤になる。そのような規範の後退は、実際に市場原理を崩壊させかねない。経済に関する専門知識を最大限に高めることも必要だが、その専門知識が正しい目標に向けて使われるように、道徳的規範も最大限に高めなければならない」
ヨゼフ・ラツィンガー枢機卿(当時)の1985年の論文。 2005年4月に第265代のローマ法王、ベネディクト16世となったその人だ。第一子は聖職者にしよう。法王も言っている。金は消えるもの、金は取るに足らない。唯一の確固とした現実は、神の言葉だ。>
アメリカの経済人、とりわけ金融業界人に「倫理」を求めるのは木に上って魚を求めるような感じである。中共に誠意を求めるようなもの。
5位 電車の運転士
<車は個人主義的で環境に優しくなく、身動きの取れない世界で渋滞に直面する。どれもこれも、あまりにも20世紀的だ。米国には新大統領が誕生し、欧州諸国は社会主義的原理を再発見しつつある。公共交通システムの改善が議題に上る日は近いだろう。男の子の夢が電車の運転手だったあのころを思い出そう。>
そう言えばその昔、カリフォルニア州では自動車を普及させるために鉄路を廃止して道路を造ったとか。今や自動車離れが始まりそうである。
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