十一月の中国の輸出実績は、世界的な需要縮小によって大幅に減少、輸入も予想外の減少という落ち込みを示した。北京からロイター通信社が伝えている。
これは十一月の一時的な現象ではなさそうだ。南西証券のアナリストZhang Shiyuan氏は「これは始まりに過ぎない。輸出と輸入は今後数カ月、恐らく来年6月まで減少し続けるだろう」との見解を示した。
日本のメデイアも北京からこの現象を相次いで報じている。毎日の大塚卓也特派員は「世界的な景気減速による市場縮小の余波が”世界の工場”にも本格的に押し寄せた形だ。輸出企業が集中する沿海部などでの雇用問題が深刻化するのは確実」と分析。
朝日の琴寄辰男特派員は「世界的な金融危機の深刻化が中国の輸出を直撃した」と述べている。金融危機で欧米などでの最終需要が急速に縮小したことが響いている・・・という分析である。
経済専門紙の日経は「金融危機が深刻になり世界的に需要が急減した。高成長をけん引してきた輸出の不振が一段と鮮明になり、中国共産党・政府は内需拡大に向け追加の景気刺激策を打ち出す可能性がある」とみている。
<[北京 10日 ロイター] 中国税関当局が10日発表した11月の貿易統計は、世界的な信用収縮を背景に輸出・輸入がともに予想外に減少した。
輸出は2.2%減と、1999年4月以来の減少幅となった。一方、輸入は17.9%減少し、データ収集が開始された1993年以来最大の落ち込みを記録した。
エコノミストは、輸出が前年比15%増、輸入は12%増加し、貿易黒字は324億ドルになると見込んでいた。
チャイナ・エコノミックモニターのエコノミストGene Ma氏は「中国製品への世界需要が縮小している。さらに輸入国のクレジット問題により、中国輸出業者の海外での販売が困難となっている」と指摘した。
輸入が輸出を超え大きく減少したことを受け、11月の貿易黒字は過去最高の401億ドルに急増。やはり過去最高だった10月の352億ドルからさらに拡大した。エコノミスト予想の324億ドルも大幅に上回った。
原油をはじめとする商品価格の下落が輸入の押し下げ要因となったものの、エコノミストは、内需の減速も反映したと指摘した。
南西証券のアナリストZhang Shiyuan氏は「これは始まりに過ぎない。輸出と輸入は今後数カ月、恐らく来年6月まで減少し続けるだろう」と述べた。
世界市場における中国輸出業者の競争力向上を目指し、中国政府が人民元切り下げに向けた追加措置を講じるか、エコノミストは注目している。
CITIC証券のエコノミストZhu Jianfang氏は「輸出セクターを支援するために政府が新たな政策を近く打ち出す公算が大きい。為替政策の変更も含まれる可能性がある」と述べた。(ロイター)>
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2567 世界的な金融危機が中国を直撃 古沢襄

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