■ネットから響く中国の春雷か。といわれる「08憲章」。すでに本紙でも取り上げられ、中国関係ブログでは完全翻訳も出回っているので、詳細は省きます。
■大胆にも中国一党独裁の終結を謳った08憲章が、一部知識人や欧米メディアだけが騒ぐのではなく、普通の労働者や失業者など社会にたいする不満をくすぶらせている層へと広がるかどうか。点と線だけの動きが面へと変わっていく気配をみせているのか。福島も、なんとなくどきどきして、総理番に身がはいりません。
だって、日本の政治よりおもしろそう(失礼)。正直、日本はものすごく枝葉末節なことで、ぐずぐずいって、この100年に一度の大転機にどういった覚悟と意気込みで臨むのか、どんな国家観、ビジョンをもっているのか、というのがみえてこない気がするのです。中国では、一部の知識層からとはいえ、こんな風に時代を動かしていこうという命がけの動きがでているわけです。
■五輪という平和とスポーツの国際イベントが、中国人の心の奥にどんなタネをまいたか。そのタネは果たして芽吹くのか。五輪直後に中国を離れた者としてはずっと気になっていたのですが、その答えがひょっとして、これではないか。という期待と、いやいや、過剰反応は禁物。これは一部の知識人とネットサイト上の限られた動きにすぎないのではないか、と自分を戒めてみたりしながら、サイトめぐりしています。
■今の中国経済失速の危機と、共産党の求心力の急激な低下と、米一局支配の世界構造の変化、そして五輪直後にやってくるチベット動乱(民族蜂起)50周年、天安門事件20周年、ダライ・ラマ亡命20周年、建国60周年…という微妙な政治の季節に、このネットからごろごろと響きはじめた遠雷は、果たして春雷となり春の嵐となり、政治改革の夏を呼ぶのでしょうか。
■で、この08憲章やネット言論周辺の動きを取材してまとめようかな、と思ったのですが、劉暁波氏は拘束され、なにやらきな臭い話も。福島一人が日本という安全な場所にいて、電話やスカイプで話をきいて、万が一、盗聴されたりして、友人たちを危険にさらすわけにもいかず、当面はウオッチを決め込むことにいたしました。ひょっとしたら、年末年始休みに北京か香港にいって、ごはんくらい一緒に食べられればいいのですが。
■というわけできょうは、私めのエントリーではなくて、福島がよく読む別の方のエントリーを紹介したい。福島のお気に入りブログのひとつ、「日々是チナヲチ」です。ときに新聞より早く面白い、超おすすめ中国観察ブログ。ですが、福島はこのブログ主の御家人さんという方がどんな方か知らない。一方的な隠れファンです。「転載歓迎」とあるので、下にリンクさせてもらった。
一党独裁に叛旗!全面的民主化求める「08憲章」出現。
【転載歓迎】「08憲章」が中国を変える!――『開放』編集長・金鐘氏(上)(下)
■上のインタビュー中であかされているが、起草者のひとり劉暁波氏は12月8日に国家転覆扇動の容疑で逮捕されたが、この08憲章起草にあたっては、ちゃんと投獄される準備をしていたという。
■実はパラリンピックがおわったあと、チベット族やウイグル族、民主化運動家に対する大粛清がおきる、という噂が、五輪開催中からかなり広がっていた。きっと、そのころには、政治の季節の来年を見据えて、こういった思い切ったアクションが起きることをみんな予測していたんだな。
私の知り合いの中には、この〝大粛清〟を心配するあまり、1、2年海外で暮らすことを急きょ決めた人もいたし、出国できない人は、投獄を覚悟して家族にお別れにいいに帰省したりしていた。
■この憲章は、ダライ・ラマ猊下も支持を表明している。ちなみに左派論断で有名な言論サイト「烏有之郷」でも賛否両論とりあげられている。そこでは、御家人さんのインタビューも、引用されている。チナヲチを読んでいる人は中国左派論者にも多いみたいだ。
http://www.wyzxsx.com/Article/Special/youyou/Index.html
http://www.wyzxsx.com/Article/Class22/200812/61483.html
■経済といい政治といい、来年は中国にとってヤマ場の一年になりそうだ。その変化のうねりをなんとしても現場でみたいという欲求がなかなかおさまりそうにない。
杜父魚ブログの全記事・索引リスト(12月6日現在2568本)
2586 春雷が聞こえる?08憲章 福島香織

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