2602 不安募る中国の新年 渡部亮次郎

中国にとっての2009年は、天安門事件20周年、チベット問題50周年、法輪功迫害10周年、五四運動90周年に当たる節目の年であるが、大紀元日本は19日「どの記念日も中共を崩壊させる引き金になりかねない」と指摘した。
もともと「大紀元」は法輪功問題で中国指導部と対立した立場の団体。主張は割り引く必要はあるが、その実、マスコミには全く現れない真実を開いてみせることがあるから目が離せない。
世界的な金融不安のあおりを受け、中国では経済成長が下降線をたどって失業率が上昇し、来年卒業する大学生610万人の就職難など、社会問題は増える一方だ、という。だからにほんでは1行も報じられていないが、これらの危機を見込んだ中共執政部は地方幹部ら2000人を招集し、突発事件への対応を研修させるなど、すでに対策を講じ始めているという。また、一党独裁の否定を要求した「08憲章」との関連で影響力のある作家、マスコミ関係者への監視を一段と強めている。当然ながら海外からのネット封鎖も一段と強化された。
【大紀元日本12月19日】の報道によれば、中国政府は海外のニュースサイトの封鎖を再度決定した。ニュースサイトに関して中国政府は北京オリンピックの間は、国際社会に自由になったイメージを与えるためしばらく、海外のニュースサイトへの封鎖を解除していた。しかし最近、共産党の一党独裁の否定を求めた「08憲章」が発表されたのをきっかけにニュースサイトへの警戒を強化したものである。
これについて中国外交部のスポークスマン劉建超氏は12月16日の定例記者会見で「サイトの一部に中国大陸と台湾省を独立した行政区域と表現したニュースサイトがある」とその理由をあげボイス・オブ・アメリカ(VOA)とBBCの中国語ニュースサイト、台湾と香港の一部のサイトを例にあげた。
しかし、「大紀元日本」の12月19日の報道は「これはただの建前に過ぎず、その真意はやはり、「天安門事件、法輪功、エイズ村、ダライ・ラマ、暴動事件」など、国民に知られたくない話題はこれらのニュースサイトで報道されているからだと断定した。
北京からの報道(19日)ニによれば、18日、人民大会堂で開かれた改革、開放路線30周年記念式典で胡錦濤国家主席,改革開放後の中国の発展について年平均9・8%の経済成長を達成し、世界第3位の貿易大国となり、世界が注目する新しい偉大な成果を挙げた』と評価した。
しかし、現実には貧富の差の拡大など問題が存在し手いることを認めざるを得なかった。「党と政府の活動に欠点や不足もあり、人民が満足していないところも少なくない」というのだ。
これは一見「08憲章」が一般市民に浸透するなど共産党の求心力が低下している事を意識して見せた発言のように読める。しかし胡錦濤国家主席は「軍に対する党の絶対的な指導性」を強調して08憲章をめぐる動きをけん制して見せた。
これらをとらえて滞中20年に及ぶ産経新聞中国総局長の伊藤正氏は19日の1面で『中国指導部は一党独裁を08憲章が揺るがす事は無いと踏んでいるようだが、憲章への署名者が何万にもなったらどうするか』と問い、一党独裁への異議申し立てが歴史的な一石になるか、「来年もまた中国は国際的な注視を受けるだろう」としている。
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