2634 政治の怠慢のツケを自衛隊に払わせる 古沢襄

政府は、アフリカのソマリア沖の海賊対策として、自衛隊法に基づく海上警備行動を発令して護衛艦を派遣する場合の対応策を検討していますが、防衛省内では浜田防衛大臣が現行法では十分な活動ができないとしているなど慎重な意見が根強く、調整が難航することも予想されます・・・2008年もきょう29日をいれて残すことあと三日。そのニュース・トップでNHKが護衛艦の派遣をめぐって防衛省に異論や抵抗があると伝えている。
その一方で「ソマリア海賊 海自の抑止力に期待する」という産経新聞の”主張”があったが、国際常識を踏まえた常識論といえる。しかし多くの新聞論調には反対論や慎重論が目立つ。
防衛省が言いたいのは「武装した海賊船に攻撃されたら、為すすべがない護衛艦に犠牲者が出かねない」ということだろう。口先では国際貢献を言いながら、政治は為すべき法的な整備を怠ってきた。そのツケを実力部隊を持つ現場の自衛官に回してきた。政治に対する自衛官たちの反発は予想するより深い。
北朝鮮が日本に核ミサイルの攻撃を仕掛けてきたらどうするのか?これは杞憂ではない。現実に日本向けの射程1500キロのノドン・ミサイルが200基がいつでも発射できるように照準を定めている。
日本の現行法では核ミサイルが東京都に落ちて、1000万都民が犠牲になって初めて、ノドン・ミサイルの発射基地を叩くことが出来る。攻撃に向かう自衛隊機は片道切符の燃料しか持てない。帰投する自衛隊機はいずれも日本海に不時着するしかない。
戦後、半世紀にわたって政治は自衛隊の手足を縛ることに専念してきた。カンボジアに平和維持軍として参加するのに機関銃一挺しか持たせずに派遣するという、およそ世間常識とはかけ離れたことを自衛隊に課してきた。
これが憲法を擁護し、国民生活が第一の日本の常識である。一国平和主義という鎖国主義以外の何物でもない。それなら国際貢献などと言わない方がいい。島国の中で勝手気ままに振る舞っていれば、幕末の鎖国攘夷が粉砕された様に、いずれ完膚無きまで叩かれる日がやってくる。
<麻生太郎首相はアフリカ・ソマリア周辺沖の海賊対策に関し、自衛隊法に基づく海上警備行動の発令による海上自衛隊艦船の派遣を検討するよう防衛省に指示した。
与党や防衛省内の調整が残っているようだが、国際社会の海賊抑止行動に日本が参加する意味合いは大きい。
これまで日本は自国タンカーなどの護衛を他国任せにしてきた。自国船を自ら守るという当たり前のことがようやく実現の運びとなる。首相の決断を支持したい。
本来は、あらゆる事態に対処できる新法制定が望ましいが、現在の政治情勢では、来年度予算成立後の来春以降にずれ込む。
海警行動はとりあえずの措置といえる。だが、一定の抑止機能は発揮できる。護衛艦の根拠地をどこに置くかなどの準備を整える必要があるが、肝心なのはスピードだ。迅速かつ実効性ある対処ができるようにするには与党や関係省庁の協力は欠かせない。
問題は、海警行動の防護対象が基本的に日本籍の船舶や日本人が被害を受けたケースに限られ、日本人の生命・財産に関係のない外国船が襲撃されても対応が困難とされていることだ。
ただ、海警行動は海上での人命・財産の保護や治安維持のために自衛隊が必要な行動をとると明記されている。地理的な制約はない。それだけに必要な行動はどの程度なのか、どこまでの対処が可能かをきちんと事前に決めておかねばならない。現場に無用な負担を押しつけてはなるまい。
外国船が襲撃されて傍観するようなことは許されない。そもそも外国船に日本人がいるかどうかを調べる名目で対処はできる。海上保安官が海自艦に同乗して司法権を行使することも必要だ。
ソマリア周辺での日本関係船舶の航行は年間約2000隻にのぼる。今年の被害は日本郵船の大型タンカーなど3件だ。このほか日本人船長が乗った中国のマグロ船も乗っ取られたままだ。
海賊制圧を求めた国連安保理決議を受け、欧州連合(EU)や米国、インドなどが艦艇を派遣している。26日には3隻の中国海軍艦艇が海南島から出航した。
国際社会の共同行動に日本が後れを取ることは国益を損ないかねない。海賊を掃討できる新法などは党派を超えた合意作りが可能なはずだ。国連決議を重視する民主党は主導する好機ではないか。(産経)>
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