散歩をしていたら女性から声をかけられた。とりつかれたような目つきをしているのでエホバの証人(物見の塔)かなと思ったが、冨士大石寺顕正会(ふじたいせきじけんしょうかい)だと言う。
「ああ、創価学会と敵対しているところね」
「そうなんです、創価学会とか天変地災で日本は大変なことになってしまいます、ぜひこれを読んでください」
手渡されたのが淺井昭衞著『日蓮大聖人に背く日本は必ず亡ぶ』。正月早々ジジイ相手に宗教勧誘とは実にご苦労様である。
一気呵成に読んだが、一種の妄想である。「法華経を唯一の教義とする日蓮正宗を国教化し、邪宗を排除し、日蓮正宗に帰依しなければ日本は滅ぶ」のであり、気候変動、大地震、中国による侵略が迫っていると危機感をあおっている。
サンスクリット語の法華経の日本語訳を読んだことがあるが、そんなことは書いてなくて、「煩悩から解脱することが幸福になる道」と説いていたと記憶する。
ところで冨士大石寺顕正会(宗教法人顕正会)とはなにか。公安調査庁「内外情勢の回顧と展望(平成18年1月)にはこうある。
<特異集団は,社会通念とかけ離れた主義・主張を掲げ,平成17年中も,これに基づいた特異な活動を展開した・・・
10年以内に300万人会員の達成を目標とする集団が,相次ぐ自然災害をとらえて「巨大地震・異常気象は大闘争の前兆」などと恐怖心をあおり,「男子精鋭十万の結集で亡国日本を救わん」と訴えて布教を呼び掛けたほか,大学生などの若年層を対象として,執拗な勧誘を展開し,監禁容疑で逮捕され関連施設などが家宅捜索される事件(7月)を引き起こすなど,社会との軋れきを顕在化させる動きもみられた>
この集団とは顕正会のことだろう。顕正会は日蓮正宗総本山大石寺から破門されているのだが(1974年)、その当時は大石寺と創価学会の蜜月時代であり、創価学会の策謀で自分たちが破門されたとして創価学会を嫌っている。
創価学会も1991年には破門されたが、顕正会を「日蓮正宗原理主義」と嫌っているから創価学会は世俗主義ということか。
原理主義VS世俗主義、日蓮宗VS日蓮正宗、スンニ派VSシーア派・・・きりがない対立の無間地獄。日本は神様が仲良しの八百万の神の国、多神教のありがたさで、多くの日本人は宗教対立と無縁である。世界にほこるべき美質だろう。
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