ヒズボラもイスラエルをカチューシャ・ロケットで攻撃。だが、第二次レバノン戦争を想定した攻撃ではない、とイスラエル専門筋。
パレスチナ問題がさらに複雑化した。
7日、レバノンに潜伏するイラン系列の「ヒズボラ」がイスラエルにロケット攻撃を加えたからだ。
イスラエルはガザ侵攻作戦の最中、これで北側でも戦端が開かれる軍事的には不利を強いられる。
まずガザを実効支配する過激テロリストの「ハマス」だが、イランが胴元、ロケットは中国製。だが北京は「あれは第三国から密輸されたものであり、中国は直接、ハマスには売却していない」と言い逃れに終始した。
ハマスが邪魔なのは、第一にPLA(パレスチナ自治政府)、第二にエジプト、第三にイスラエル、そして第四にサウジなどアラブ世俗イスラム国家だろう。
だからハマスへの同情はアラブの民衆と、日本の大手マスコミくらい。米欧はハマスをテロリストと規定している。
イスラエルはガザへの戦車投入で、21日のオバマ就任式までに主な作戦を終わらせようとしており、ガザを当面、東西で両断する戦術をとっている。
さてヒズボラは、これまたイランが胴元の過激派でレバノンに潜伏するグループだが、シリアも暗黙に支援をしてきた。
レバノンには「ハマス」以外にも、十の過激派セクトがあり、それぞれがセクト抗争とともに、功名争いでイスラエルの軍人を急襲したりするが、すぐにイスラエルから復讐されるので、際立った力にはなりえない。
ヒズボラのロケット攻撃の狙いは、戦線を拡大させるように見せながら、じつはハマスへの支援表明、そのための後方攪乱である。
短期的目標はアラファトの後継ぎ=アッバス率いるPLA政府への嫌がらせ。
「ヒズボラの実力を勘案すれば、イスラエルとの本格的戦闘を開くには2005年レバノン戦争で被った軍事組織の壊滅から立ち直っておらず、ひたすら軍事部隊の再建を試みている段階である」(エルサレムポスト、1月9日付け)。
だから第二次レバノン戦争をイスラエルは想定していない。
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2685 オバマ就任式までにガザ作戦を終わらせる 宮崎正弘

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