韓国の聯合ニュースが「北朝鮮にテポドン2号発射の動きがある」と報じている。テポドンの射程4300キロから6000キロ、改良型は10000キロの長距離弾道ミサイルだといわれている。
日本は1500キロの距離しかないから、テポドンは明らかにアメリカを狙った長距離弾道ミサイル。今の時期にその発射実験の動きをみせる北朝鮮について様々な憶測が飛び交う。これについて産経の黒田ソウル支局長が詳しく伝えている。
黒田氏は①ミサイル基地への大型コンテナの搬入などが米偵察衛星で確認されたが、公然としているため、国際社会に対する外交的脅迫のための“偽装工作”の可能性。
②オバマ新政権を早急に「核保有国・北朝鮮」との話し合いに引き出そうという狙いがある。
③最近、完成したとされる東倉里ミサイル基地は東海岸に位置する従来の基地とは異なり西海岸にある。中国とは目と鼻の先で、その位置が微妙なため「中国を意識したものではないか」との憶測もある・・・と指摘した。
これについて北京共同は中国外務省の話として「関連する報道があったことは承知しているが、状況については把握していない」と伝えてきた。
<【ソウル=黒田勝弘】年初から緊張激化作戦を展開している北朝鮮が、今度は長距離弾道ミサイルの発射準備を進めていることが明らかになった。発射に踏み切った場合、2006年以来、3年ぶりとなるが、日米韓をはじめ国際社会を刺激することは確実で、朝鮮半島情勢は重大な局面を迎えることになる。
ただ米偵察衛星で確認されたのはミサイル基地への大型コンテナの搬入など予備的な動きで、実際に発射を実行するまでにはかなり時間がかかるといわれる。またミサイル基地の動きが衛星で確認できるほど公然としているため、国際社会に対する外交的脅迫のための“偽装工作”の可能性もあり、各国とも情報収集など見極めに懸命だ。
北朝鮮は最近、人民軍総参謀部が声明(1月17日)を発表し韓国との「全面対決態勢」を叫んだり、祖国平和統一委員会が韓国との「すべての政治・軍事的合意の無効化」を宣言(30日)し「戦争の瀬戸際にきている」などとしきりに緊張をあおってきた。
とくに西海岸沖(黄海)の南北軍事境界線の無効を主張しているため、韓国軍との海上での軍事衝突の可能性もささやかれている。
しかし今回の「長距離ミサイル発射準備」は米国を意識したものとの見方がソウルではもっぱらだ。核問題とからめて米国の耳目を集め、オバマ新政権を早急に「核保有国・北朝鮮」との話し合いに引き出そうという狙いがあるとみられている。
北朝鮮はこのところ米国に対しては、核廃棄より対米関係正常化が優先されるべきとし、その後、核軍縮交渉で朝鮮半島の非核化を実現するという立場を強調(1月13日、外務省スポークスマン談話など)。「核保有国」として米国との対等な交渉を主張している。
今回の“長距離ミサイル誇示”は、米国への脅威を演出することでオバマ政権の目を北朝鮮に向けさせる作戦というわけだ。
韓国各紙が情報当局の話として伝えるところによると、北朝鮮では現在、ミサイルと推定される「長い円筒形の物体」も列車で移動中という。最終的に北朝鮮北西端に位置する、平安北道鉄山郡東倉里にあるミサイル基地に向かうのかどうか追跡中という。
最近、完成したとされる東倉里ミサイル基地は東海岸に位置する従来の基地とは異なり西海岸にある。中国とは目と鼻の先で、その位置が微妙なため「中国を意識したものではないか」との憶測もある。
しかし過去、国際社会は北朝鮮の“ミサイル・カード”には厳しく、1998年のテポドン1号発射の時は国連安保理議長声明で非難され、2006年の2号発射の際は安保理決議案採択で制裁につながった。(産経)>
<中国外務省の姜瑜副報道局長は3日の定例会見で、北朝鮮が長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の発射準備を進めているとの情報について「関連する報道があったことは承知しているが、状況については把握していない」と述べた。
北朝鮮が韓国との緊張解消を目指す南北間の合意すべての「無効化」を宣言し、朝鮮半島の緊張が高まっていることについては「南北双方が対話を通じて関係を改善し、和解を進めることを希望する」と強調した。(共同)>
<【ソウル3日聯合ニュース】韓米の情報当局は、北朝鮮が平安北道鉄山郡東倉里のミサイル基地で長距離弾道ミサイル「テポドン2号」(射程距離4300~6000キロメートル)を発射しようとする動きを把握し、綿密に監視を続けている。
政府消息筋は3日、政府当局が先ごろ衛星を通じ平安北道のある軍需工場で円筒型の物体とみられる部品を載せた列車が東倉里に向かっているのをとらえたとし、この物体が長いことからミサイルと推定されると明らかにした。
また、この物体がミサイルだとすればテポドン2号の可能性が高く、発射台にミサイルを装着する期間などを考慮すると1~2カ月以内に発射準備を終える可能性があると述べた。
別の消息筋は「列車に搭載された物体がカバーで覆われているため精密な識別が必要だが、もしミサイルだとすれば北朝鮮は軍事的緊張を造成する行為を中断すべきだ」と主張した。しかし、東倉里基地と関連した特異事項以外に短距離ミサイル発射の動きやほかの軍事動向は識別されていないと伝えた。
政府は、北朝鮮のこうした動きが先月17日に韓国に対する全面的な対決姿勢を宣言した朝鮮人民軍総参謀部報道官の声明、同30日に朝鮮平和統一委員会議が発表した南北間の政治・軍事関連合意事項を無効化する旨の声明と関連があるとみて、分析作業を進めているようだ。
東倉里ミサイル基地は北朝鮮が7~8年前から建設し、昨年末に完工したとされる。この基地には弾道ミサイルやロケットを支えることができる高さ10階のタワーが建てられ、人工衛星の打ち上げも可能だと情報当局は分析している。昨年5~6月には長距離ミサイル用と推定されるロケットエンジンの性能実験が行われた。(聯合)>
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2820 北朝鮮にテポドン発射実験の動き 古沢襄

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