2846 NLLにミサイル発射の可能性高い 古沢襄

朝鮮半島情勢で一番懸念すべきは北朝鮮の地対艦ミサイルが、NLLの韓国艦艇に向かって威嚇発射されることであろう。今、騒がれているテポドンの長距離ミサイルは、試射であるかぎり国際的な非難は浴びようが、戦闘状態を招くものではない。
韓国政府は一連の北朝鮮による徴発シナリオを分析しているが、やはりNLLに短距離ミサイルを撃ち込む可能性が高いとみている。
北朝鮮側の主張はこうなる。NLLを北朝鮮は認めていないから自国の領海で地対艦ミサイルの試射を行ったに過ぎないと。たまたま韓国海軍の艦船が被弾すれば、北朝鮮の領海侵犯だと逆ネジを食わせてくる。
2月16日が金正日総書記の誕生日。北朝鮮の軍部が金正日総書記の歓心を買うために、その前後にNLLに向けて射程100キロの地対艦ミサイルを発射する可能性があるという。
<韓国政府は北朝鮮による複数の挑発シナリオを検討しているが、その中で西海(黄海)北方限界線(NLL)に短距離ミサイルを撃ち込む可能性が最も高い、と考えていることが5日分かった。
韓国政府筋はこの日、「先月30日に北朝鮮の対南工作機関である祖国平和統一委員会(祖平統)が、“戦争直前の状況になった”と脅迫めいた声明を発表した際、安全保障関連部処(省庁)の実務担当者が南北会談本部で非公開の対策会議を招集した。この席で、“NLLへのミサイル挑発”の可能性が最も高いという話が出た」と語った。
祖平統は当時、「政治的・軍事的合意の無効化」と「NLLの無効化」を同時に宣言した。そのため北朝鮮が一方的に設定したNLLに向け、ミサイルを撃ち込む可能性が高いということだ。1999年に北朝鮮が主張したNLLは、現在のNLLよりもはるか南に位置している。この政府筋は「韓国が北朝鮮に向けてビラを飛ばすことと、北朝鮮が韓国にミサイルを撃ち込むことは同じ、という論理を北朝鮮が主張している」と述べた。 
とりわけ韓国の民間団体が金正日(キム・ジョンイル)総書記の誕生日となる16日を前後し、北朝鮮の紙幣とともにビラを飛ばす計画を明らかにしており、北朝鮮がこれを口実に挑発を行う可能性があるとみられている。
北朝鮮は黄海道にある複数の島などに地対艦ミサイル基地を保有しており、昨年10月にも実際に発射実験を行っている。これらのミサイルは射程距離が100キロから120キロに達することから、NLLにも十分に到達できる。しかし韓国の艦隊などに脅迫を加えるために発射されたミサイルが、誤って実際に命中してしまった場合、取り返しのつかない事態になると懸念されている。
安全保障関連部処の関係者は、「テポドン2号のような長距離ミサイルを発射するなど、挑発の兆候を事前に把握することさえできれば、こちらとしても前もって備えることができる。しかし突然発射される短距離ミサイルや、北朝鮮の艦艇がNLL周辺で発射するミサイルなどに対しては、直ちに対応するのは難しい」と述べた。北朝鮮のミサイル警備艇も、射程距離40キロほどの艦隊艦ミサイルを搭載しているという。
今後も北朝鮮がさらに挑発を繰り返し、済州島周辺の公海上にまで中距離ミサイルを撃ち込むことも考えられる。しかしこれは中国などの意向もあることから、実際は難しいとみられている。(朝鮮日報)>
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