オバマ政権の米中央情報局(CIA)次期長官に指名されているパネッタ氏は、昨年に金融危機で経営破綻に直面していた金融機関二社から計5万6000ドル(約504万円)の講演謝礼を受け取っていたことが問題視されている。
このニュースの陰に隠れていて見逃されているが、五日の米上院情報特別委員会の人事聴聞会で書面資料を通じ「北朝鮮が2006年に核兵器を爆発させたことをわれわれは知っている」と重要証言をしている。
何故、重要証言かというと、米政府は2006年10月9日の核実験について、核兵器に達しない「核装置の爆発実験」だと低く評価してきた。パネッタ氏はこれまでの米政府の公式見解とは異なる。
この流れは、先ごろ米国家情報会議と国防総省傘下の統合戦力軍が報告書で北朝鮮を「核兵器保有国」と言及したことや、ゲーツ国防長官が外交専門誌寄稿文で「北朝鮮がすでに多くの核兵器を開発した」と明らかにしたことと一致する。
「北朝鮮は数個の核兵器を製造できるプルトニウムを確保している」という程度の見解なら、10月9日の核実験は「核装置の爆発実験」で済まされる。しかし北朝鮮が核兵器の爆発実験をしたとなると、核爆弾の小型化などの段階に入り、長距離弾道ミサイルの弾頭に核爆弾をつけることも近いことを視野に入れねばならない。
次期CIA長官に擬せられているパネッタ氏は、北朝鮮がすでに核兵器を保有しているという立場から、北朝鮮に対する諜報活動の徹底化を唱えている。この日の証言でも「金正日総書記が核能力をひとまず、または永遠に放棄する準備を進めているかどうかは分からない」と証言、北朝鮮をアフガニスタンやイランなどとともに米国の徹底した情報活動が必要な「重要な地域」だとした。
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